○橋
自治体の橋は10m以上は木造アーチ型と石積みを基本とし、コンクリートは使用しない。
○推薦選挙(自治体)
プラウトヴィレッジでは誠実さを基準にリーダーを選ぶ。すると戦争は起きず、不正は行われず、全体の善を考えて物事が決定されていく。反対に不誠実なリーダーになると、争いや腐敗、自己中心的なな判断がなされるようになる。
この誠実さは人間の自我と密接に関係している。自我とは「私」という考えで、「私」が強いほど不誠実に傾いていく。なぜなら「私」を主張し、自分を優先する傾向が強くなるため。誠実な人はこの「私」を抑えて他者を優先できる。つまり他者の幸せを心から願える良い人ということ。世界から戦争や不正をなくそうと思えば、どの階層のリーダーも誠実な人を選ぶことが要となる。
次の表は良いリーダーと悪いリーダーの基準。世の中には誠実さがにじみ出ていたり、表面上ではわからないが言動が誠実な人が一定数存在する一方、不誠実さが態度や言動に表れている人も存在する。そしてその両極には当てはまらない中間的な人格傾向の人々が多数を占めている。この中間層の中でも誠実よりの人もいれば、不誠実よりの人もおりグラデーションになっている。この推薦選挙では誠実な人、もしくはかぎりなく誠実に近い人を住民が周囲の住民からリーダーに推薦することで、本当の意味で平和な社会が築かれていく。おおよその目安として、全人口のうち誠実な人が20%、中間層が60%、不誠実な人が20%と認識しておき、推薦選挙では誠実な20%を推薦するように努める。そうすることで、人格者選抜による公平で透明性のある統治が自治体から世界連邦まで行われる。
良いリーダーの基準
貨幣社会の選挙で選ばれて政治家になると、権力、特権、社会的地位、影響力、名声、高給など、自我が喜ぶ報酬やステータスを得ることができる。つまり自我の強い不誠実な傾向の人が集まりやすい制度となっている。不誠実な人が多くなると選挙の透明性や公正さが損なわれ、不正選挙も増えてくる。
一つの目安として、国際非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルが公開している2024年の腐敗認識指数がある。これは政府や公共機関の腐敗がどの程度あると感じられているかを、専門家や企業関係者の意見をもとに数値化したもの。この中で100点満点中、世界平均スコアは43点となっている。これは、180か国中、約3分の2の120の国々が50点未満であり、腐敗の問題が依然として深刻であることを示している。1位はデンマークの90点、日本は20位で71点、180位は南スーダンの8点となっている。
こうした問題が起こる主な理由は次の通り。
・貨幣社会であること。つまり、政治家になることで得られる権力や特権、高収入といった報酬が、自我の強い人々を引き寄せやすく、その立候補者の中から選ばなければならないという構造であること。
・自我の重さ軽さが立候補者の言動を決める決定的要因と、有権者が深く認識していないこと。
・選挙制度自体が候補者の自我の強さを(=人格)を見抜く仕組みになっていないこと。
・有権者側がリーダーを選ぶ際に、こうした自我に関して統一した基準や価値観が欠けていること。
プラウトヴィレッジではこういったことを解決するため、推薦選挙を行い人格者を選出する。学校でも職場でも、1年ほど同じ組織で同じ人と定期的に顔を合わせていると色々な性格が見えてきて、だいたい周囲の評価は同じになる。つまり人は人の言動を良く見ている。「Aさんは誰に対しても優しくて協力的だ」「B君はおしゃべりでおもしろい人だけど、ちょっとずるい性格です」「C君はいつも友達の陰口を言っているよ」「Dさんは内気だけど周囲に流されず自分のペースで物事を進められるまじめな人です」など。こういった評価は勉強ができるできないに関係なく、13歳でも可能となっている。
つまり日々の生活を送る中でよく接する自分の住居周辺から1人推薦し、推薦者が多い人物が第5自治会の第5リーダーとなる。そして段階を経て選ばれていった第5リーダーが第1リーダーとなれば、県内の第1リーダーが集まる県議会に参加する。
また自治体運営に必要なDuty Shareを住民が行うことで、職場のように一緒に作業する人の性格も見えてくる。よって推薦選挙前に「あなたがおすすめする誠実な人」というアンケートを取り、その評価が高かった人物は所属の第5自治会内に知らされ、住民はそれも参考に推薦する。
自治会の役割は、例えばもし近隣で問題が起これば、住民は第5自治会の第5リーダーや第5副リーダーのもとに相談へ行く。そして必要であれば第5リーダーは近隣住民を集めて対話による解決を図る。それでも解決しないときは一つ上の階層の第4リーダーのもとへいき、より大きな問題として対話によって解決する。こうして問題が起こった時は対話により解決していき、各リーダーは小さな組織で経験を積んで第1リーダーとして成長していく。この場合、答えのない問題に直面した時に、そのリーダーと副リーダーの本当の力量が見えてくる。
この推薦選挙は自治体から世界連邦まで次の同じルールで行う。
推薦制度のルール
1年に1回、推薦選挙の日を設ける理由は、住民が選挙に無頓着になるのを防ぐためというのが一つ。もう一つは誠実性を基準に選んでも普段の生活では見えなかった性格もあり、実際に権力や立場的優位性を持った時に本性が見えることがある。その時に1年に1回選挙日が設けられていれば交代を容易に行える。
推薦権は10歳からで、特別な理由がない限り自治体は必ず全員の推薦者を聞く。これは、子どもでも十分に自分の意思を示せる年齢であり、年齢の節目としてもわかりやすいため設定している。
推薦権は住民全員にあるが、1年以上そこに住んでいることを条件とする。理由は、引っ越してきたばかりで5町会の住民の多くと会っていないのに、何もわからず推薦するのを避けるため。
また自治会や議会ではリーダーと副リーダーが行動を共にする。最終決定権はリーダーにあるが、リーダーの独善的行動や権力濫用を防ぐため、常に意思決定の前には副リーダーとしっかり話し合うことが前提となる。それを言葉だけの制度に終わらせないために、副リーダーは年に一回、所属自治会や議会で推薦選挙を行える権利を持ち、それでリーダーを継続させるかどうかを決定する。その詳細をまとめたのが下記の表。
リーダーと副リーダーのルール
○推薦選挙(県、国、六大陸、世界連邦)
推薦選挙のルールは自治体と同じ。自治体内で誠実な人をリーダーに選ぶことが全ての土台になる。自治体の第1リーダーは次に県議会に参加する。
2000年の日本には都道府県が47個あったので、県リーダーと副リーダーがそれぞれ47人ずついることになる。その計94人の中から国議会の推薦選挙で日本の国家リーダーと国家副リーダーを選び、六大陸の大陸議会へ参加する。
2000年の段階で世界には約200の国が存在した。つまり国家リーダーと国家副リーダーが200人ずつ存在する。その中でまず国家リーダーは自分の国がある六大陸の中で推薦選挙を行い、大陸リーダーと大陸副リーダーを決定し、その2人が世界連邦の世界議会に参加する。六大陸とは、①オセアニア、②アジア、③ヨーロッパ、④アフリカ、⑤北アメリカ、⑥南アメリカのこと。南極には永住している人間がいないため除外とする。
つまり六大陸から2名ずつ計12人の大陸リーダーや大陸副リーダーが、世界連邦の世界議会へ参加する。その後、世界議会の中でも推薦選挙を行い、世界リーダーと世界副リーダーを決定する。ここでもA群とB群を交互に選出する。
現時点での世界連邦の運営組織は統括、医食、製造の3つ。この組織数がどこまで増えるかは未定だが、この形で世界連邦が開始した場合、統括、医食、製造のリーダーと副リーダーも自治体や県議会と同じく、誠実で実力がある人物は誰かを世界議会で話し合って決め、最終的に世界リーダーが依頼する権利を持つ。
こうして第5自治会から世界連邦の世界議会まで、運営と推薦選挙の仕組みは全て同じとなる。住民の推薦による第5自治会、第4自治会、第3自治会、第2自治会、第1自治会、県議会、国議会、大陸議会、世界議会の9段階の推薦選挙を経て、世界連邦の世界リーダーとなる。
貨幣社会の政治制度では、立法、司法、行政の三権分立などで権力を分散させることが多いが、世界連邦では分散させない。ここで理解するべきことは、世界連邦に参加する大陸リーダーなどは、自治体から選ばれてきた誠実な人格者であるということ。つまり人格者の集まりが世界連邦であり、人格者は権力を乱用しない。推薦する住民も権力を乱用しそうな人を推薦しないよう、気をつける必要がある。
そして多くの問題を自治体レベルで解決することが前提となるので、世界連邦で解決する問題は限られたものになる。
○Duty Share制度
Duty(デューティ)は社会的・道徳的に「果たすべき役割」というニュアンスで、Share(シェア)は共有するという意味。自治体運営は住民が行うため、リーダー職、医療、食料、住居、水・電気などのインフラ、教育、衣服、治安維持などの生活基盤は、住民の交代制で運営を行う必要がでてくる。
住民の中には積極的にまじめに参加する人もいれば、全く行わない人も出てくるので自由参加にはせず、公平に同じ時間の参加となるよう参加時間の記録をつけながら行う。目安は現時点では1日2時間、週8時間程度。
内容は次のようなもの。
これらは生活基盤が対象なので、音楽など芸術やスポーツチームの指導などは文化的な活動としてDuty Shareの対象にはならない。
またDuty Shareの各業種ごとに推薦選挙を行い、誠実な人物をリーダーと副リーダーに任命する。Duty Shareの推薦選挙のルールは次の通り。
Duty Shareの推薦選挙のルール
プラウトヴィレッジでは推薦選挙を10歳からできるようになる。それにあわせてDuty Shareも10歳から簡単なものを始めるようにする。Duty Shareは自治体運営に必要な職業体験の側面もあるので、10歳からはまず幅広く経験し、運営に必要な全体像を理解する機会になる。
○医療
2025年の厚生労働省の調査では、日本の病院数は8022件、一般診療所は10万5359件、歯科診療所は6万5793件となっている。
この年の日本の人口は1億2330万人なので、病院は1万5370人に1件、一般診療所は1170人に1件、歯科診療所は1874人に1件となる。
最大6万人ほどのプラウトヴィレッジに当てはめると病院は4件、一般診療所は51件、歯科診療所は32件となる。ただこれは日本の貨幣社会の平均的数字を当てはめた数字なので、予防医療を強化するプラウトヴィレッジでの数はもっと少なくなる。
出典:
医療施設動態調査(令和7年5月末概数) , 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m25/dl/is2505.pdf
病院と診療所の基本的な違いは、次の通りとなっている。
病院と診療所の比較
CT、MRI、超音波、人工呼吸器、ペースメーカーなど、多くの機器がレアメタルを必要としている。ただレアメタルは供給制限と枯渇に向かっている。つまり枯渇に向かうほど、これらの機器の製造コストが増加する。すると高額機器を導入できない医療機関が増加し、地域格差が拡大する。そして患者の大病院集中により、混雑・待機時間の増加が起こり、地方では検査を受けるため遠距離移動が必要になる。さらに患者のCT・MRI検査などの自己負担額は増加する。技術革新と制度改革によって上昇幅は抑えられる可能性もあるが、レアメタルの供給制限により、「価格が上がっても買わざるをえない」状況となるため、全体的に負担額が増加する。
ただプラウトヴィレッジ単体では対応困難で、世界・国家レベルの連携が必須な医療分野は次の通り。これは世界連邦で対応策を考えることになる。
1800年頃の産業革命以降、世界の平均寿命は伸び、乳幼児死亡率は低下している。その要因は次のものがある。
清潔な水、トイレや下水の清潔な処理、ワクチンと予防接種、安全な分娩環境、母子の保健教育、多様な作物とバランス食、運動、定期的な健康診断と早期治療。
これらを踏まえプラウトヴィレッジでは、次の3つが要になる。
⚫︎技術革新の推進:
世界連邦など世界的ネットワークの中で、レアメタルを使わない新しい診断・治療技術の開発を進める。
⚫︎予防医療の徹底:
清潔な衛生環境と栄養、予防接種、運動、分娩・母子ケア、健康教育、定期診断で乳幼児の健康と全住民の寿命を維持する。
⚫︎需要削減:
予防医療重視により治療機器の需要を減少させる。
これらを踏まえつつ自治体一つに病院一つを基本とし、必要に応じて診療所と歯科診療所の数を設定していく。そして高度医療機器やワクチンなどを除き、医療に必要な基本的な用具や植物由来資源の備品は、自治体内で自給自足していく。
○消防
プラウトヴィレッジでは住居が密集することはなく、住居は土の壁なので燃えない。よって火災時に住居から住居へ火が燃え移る可能性は少ないが、周辺の樹木へは燃え移る可能性がある。火災が起きれば自治体の消防車が出動し、規模が大きければ近隣の自治体からも応援が駆けつける。ただ初期消火活動として住民自らが各家庭に常備されてある小型消化ポンプを使用して消火活動を行う。これにより周辺の木々へ火が燃え移ることが早期に予想された場合に、それらの木々に先に放水して被害を最小限に抑える。住民による消火訓練も、医食部が中心となって自治体で年1回ほど計画する。
ハイブリッド消防ユニット
(足踏み式 vs 電力式 × 地下式消火栓 × 上水道+雨水タンクの二系統接続)
消火用雨水タンク容量とサイズ目安表
○災害時の救助と復興
2020年に世界中で広まったコロナウイルスでは、感染を防ぐため自宅待機が求められた。そのため企業も個人も、お金にまつわる問題に悩まされた。プラウトヴィレッジでは自宅や周辺で食物を育てているので食べるものに困らず、家賃を支払う必要もないので、感染者がいなくなるまで全員が自宅待機することができる。学生の勉強の遅れの問題も、プラウトヴィレッジには指導カリキュラム、学歴、就職という概念がなく、勉強は独自に進めていくことが前提となっている。そのため勉強の遅れという概念もない。
コロナウイルスのような感染症が発生した場合の手順としては、まず発生した自治体と周辺自治体を早期に封鎖する。場合によっては全国的に自治体間で人の移動を禁止する。そして自治体内で全住民の検査を行う。陽性だった人は、自宅待機か空いている土地に作られる一時的な隔離住居に移動し、治療を受ける。もし自治体内の大部分が感染していれば、自治体そのものを封鎖し、感染していない人が別の自治体へ移住する。こうして全員が陰性と判断された自治体同士は、再び移動が自由となる。こうしてワクチンを打たずに感染者ゼロを目指す。
100年単位で歴史を振り返ると感染症は古代から発生し続けており、今後も発生する。そのため人口が分散していた方が、検査を手分けして迅速に行える。都市のように大人数が集中していると医師と設備の数が足りず、医療崩壊を起こす。
また、地震、火山噴火、地すべり、台風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、津波などの自然災害のどれが起きようとも、基本的な対応策は同じ。自然災害の影響が及ぶ範囲は限定的であり、災害の影響が及んでいない周辺自治体が避難場所として被災者を受け入れる。
災害が起こりまず困ることは被災者の住む場所、トイレ、食料だが、周辺地域の自治体や住民が避難場所として宿泊施設や自宅を提供し、食べるものも提供する。次にその自治体の統括部がその避難者のリストをまとめ、安否の確認がとれるよう手配する。
次に復興については、破壊される前の状態を作り出せば良いだけであり、そのために周辺地域の住民が中心となって復興を行う。貨幣社会では復興する際の大きな問題として資金面があり、復興後も経済的に成り立つのかが問題となって復興が遅くなる。しかし貨幣がないプラウトヴィレッジではそういった問題は起こらず、地元の資源と住民がいれば復興はすぐに行われる。
そして街が完成すれば再び住民は戻っていく。ただ噴火、津波、洪水などの自然災害の歴史を何百年単位で見ていくと、同じような場所で同じような災害が起こっていることがある。つまり復興する場合も、同じ災害が起こると予測されるのであれば、同じ場所に街を作らない必要性が出てくる。地域の歴史を慎重に検討し、自分達の子孫の世代のことも考えた上で街作りを行わなければならない。
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