○レアメタルフリーの重機
自治体を構築する上で必要になる重機もレアメタルフリーで作られる。その際のポイントと制約は次のようになる。
1. 動力源
⚫︎化石燃料を使わない・または再生可能燃料使用
バイオディーゼル、薪ガス、蒸気機関などを活用し、リチウムやコバルトなどのレアメタルを使うリチウムイオン電池を避ける。
⚫︎電動重機の場合は永久磁石モーターを避け、巻線型誘導モーターなどを使う(重量増と効率低下のトレードオフあり)
2. 機械構造
⚫︎鉄、銅、真鍮、アルミニウムなど比較的入手しやすい金属を中心に使用
精密電子部品や半導体を使わず、機械式やアナログ式の制御を重視
⚫︎油圧系は植物油ベースの作動油を使い、複雑な電子制御は避ける
3. 操作・制御系
⚫︎電子制御は最小限または無くし、機械式レバーやワイヤー制御に置き換える
⚫︎安全機構も機械的・アナログ式を採用
4. 素材調達と製造
⚫︎地元で調達・加工可能な鉄鋼、木材、銅線、天然繊維などを使用
⚫︎電子基板や半導体、希少鉱物を使った部品は極力排除
運用イメージと注意点
⚫︎大型・高速作業には不向き
効率やパワーは現代のレアメタル・高機能電子部品を使う機械に比べ劣る
⚫︎定期的なメンテナンスと修理が前提
機械的な摩耗を前提に、部品交換や修理を地域工房で行う設計が必須
⚫︎作業効率と持続可能性のバランス調整が必要
●レアメタルフリーの小型ショベルカー
項目 | 内容・素材例 | 備考 |
動力源 | ・バイオディーゼルエンジン(菜種油・廃油など)・薪ガス(ガス化装置) ・蒸気エンジン(薪・木炭) ・可能であればマグネシウム電池を優先 | 化石燃料に依存しない設計。 |
駆動系 | ・鉄+銅のギア式機械駆動 ・クラッチ操作で走行・作業切替 | 電子制御なしの機械式駆動 |
アーム・バケット | ・鉄製アーム、爪、油圧なし可動部を工夫 ・歯先は鍛造鉄 |
|
油圧系(必要な場合) | ・鋼管+銅パッキンのアナログ油圧・作動油に植物油(ヒマワリ・菜種)を使用 | 樹脂ホースや電磁弁不使用設計も可 |
操作装置 | ・機械式レバー操作(ワイヤー+バネ+油圧) ・メーター ・警告灯もアナログ | 計器類も白熱灯・機械式 |
キャタピラ(履帯) | ・鉄製リンク式キャタピラ(再生鋼) ・ゴムは再生素材/交換式 | 複雑なショック吸収構造は簡素化 |
シャーシ/フレーム | ・リベットまたはボルト組立式鉄骨構造 | 板金・加工が村レベルでも可能 |
電装系(省略可能) | ・白熱灯照明/警告ブザー/ゼンマイ式タイマー ・再生鉛電池 or 手動発電でも対応 | バッテリーはなくても運用可 |
座席・キャビン | ・木製 or 鉄枠+麻布クッション ・キャノピー(屋根)は竹+防水布 | 豪華な装備は排除し軽量化重視 |
工具・点検性 | ・すべて分解修理可能な設計 ・モンキーレンチで整備可能 | 地域工房でメンテナンスできる設計が原則 |
塗装 | ・柿渋、松煙、植物油仕上げ(防錆用) | 自然由来塗料で環境負荷軽減 |
次の内容はプラウトヴィレッジで製造する重機の例。これらもレアメタルフリーでの設計となる。
●建設・土木用重機(地面を掘る・整える・運ぶ)
カテゴリ | 名称 | 主な用途 |
掘削系 | 油圧ショベル | 土砂・石の掘削、整地、農地開墾 |
積込系 | ホイールローダー | 土砂・堆肥・木材などの積み込み |
整地系 | ブルドーザー | 土地を平らに整える、道を作る |
転圧系 | ローラー(ロードローラー) | 地面を圧縮・固める |
運搬系 | ダンプカー(小型〜中型) | 掘った土や資材の運搬 |
高所作業 | バックホー+アタッチメント | 簡易クレーン、建材吊り上げ |
●農業用重機(作物の栽培・収穫支援)
カテゴリ | 名称 | 主な用途 |
畝立て・耕起 | トラクター+プラウ・ロータリー | 土を耕す、畝を立てる |
施肥・除草 | 動力散布機/中耕除草機 | 施肥、雑草処理 |
播種・植付け | 精密播種機・苗植え機 | 種や苗の効率的な配置 |
収穫系 | バインダー、脱穀機、芋掘り機 | 穀物や芋の収穫・処理 |
運搬系 | ミニ運搬車(キャリア) | 収穫物や資材の小規模運搬 |
●林業用重機(伐採・搬出・製材)
カテゴリ | 名称 | 主な用途 |
伐採・枝払い | チェーンソー(手動も含む) | 木の伐採・枝処理 |
木材搬出 | スキッダー・フォワーダ | 切り出した丸太の運搬 |
積込・整理 | ログローダー | 木材の積み込み、整理 |
搬送 | 林業用トレーラー/台車 | 丸太の村内運搬 |
●インフラ・整備系(村づくり・道具整備)
カテゴリ | 名称 | 主な用途 |
小型運搬 | フォークリフト(手動式も) | 資材や家電の移動 |
穴掘り | ボーリングマシン(井戸用) | 地中探査、水源確保 |
工作機械 | 万能旋盤、溶接機、木工旋盤 | 工具・部品の自作・修理 |
粉砕系 | チッパー/シュレッダー | 枝葉・残材の粉砕(堆肥化) |
○レアメタルフリーの世界交通網
ガソリン車も電気自動車もレアメタルが使われている。プラウトヴィレッジは貨幣社会ではないので仕事というものはなく、誰かと利益を競争する必要がない。そのため速く移動する必要がない。そして持続可能な移動方法で世界中を行き来するために、飛行機や高速で走る車はなくなる。
持続可能な世界交通網の基本方針
⚫︎各大陸内は鉄道網で結ばれ、大量かつ効率的な陸上輸送を担う。
⚫︎大陸間・島々の間の移動はフェリーを利用し、飛行機や海底トンネルは環境負荷が高いため原則使用しない。
⚫︎フェリーは持続可能な設計と運用を前提とし、長距離一気渡航ではなく、小さな島を経由しながら短距離区間で安全性を確保する多段階航路方式を優先。
⚫︎地域ごとの中継拠点や補給・避難施設を整備し、航路の柔軟性と運用の持続性を高める。
⚫︎周囲に中継できる島がなくフェリーでも行きにくい孤立性が高い島々はアクセスできないので、その住民はプラウトヴィレッジへの移住を推奨する。(例、イースター島、セントヘレナ島など)
●レアメタルフリーの電動自動車(上限時速20km)
まず自治体内や近隣自治体までの移動には電動自動車(例:ゴルフカート程度)を使用する。これはレアメタルを使わないモーターとマグネシウム電池の組み合わせで製造可能。ただし「軽さ・効率・コンパクトさ」は犠牲になる。その代わり、持続可能性・修理性・地域製造可能性は大きく向上する。
自動車の自治体内での最高速度は20km/hになり、世界中で交通事故による死亡者ゼロを目指す。20km/hだとブレーキ距離が短く、ぶつかったとしても衝撃が軽度のため、死亡には至らず骨折や打撲で済むケースが大半となる。
速度別・歩行者の死亡率(目安)
車の速度(km/h) | 歩行者の致死率(目安) |
20 km/h | 約1〜2%以下 |
30 km/h | 約5〜10% |
40 km/h | 約15〜30% |
50 km/h | 約50% |
60 km/h | 約80%以上 |
※出典:WHO、英国道路交通省、IIHS(米国道路安全保険協会)などの統計をもとにした推計。
レアメタルフリーの電動自動車の設計概要
項目 | 採用可能な方式/素材 | 説明 |
モーター | 巻線型誘導モーター / SRモーター | 磁石不要。重いが耐久性あり。出力は十分。 |
電源(バッテリー) | マグネシウム電池 / ナトリウムイオン電池 | リチウム・コバルト不使用。地域資源からも製造可能。 |
車体素材 | 木材+再生鉄+生分解プラ(内装など) | 地元資源で組み立て可能。加工も簡易。 |
制御系(回路) | シンプルなトランジスタ・ロジック回路 | 高機能不要ならマイコンも最小限で済み、部品点数を削減可能。 |
タイヤ | 天然ゴム+リサイクル繊維 | 生分解性あり。リサイクル繊維で補強。エアレスタイヤも検討可。 |
車輪/シャーシ | 再生金属 or 合成ゴム+木製ハウジング | 強度確保しつつリサイクル素材で対応可能。 |
ブレーキ | 機械式ドラム or ディスクブレーキ | 電磁ブレーキを避け、レアメタルを回避。 |
照明など | 白熱灯 | LEDではなく白熱灯で対応可能。光量と電力消費のバランス重視。 |
冷房 | アンモニア+水の吸収式冷房(蓄冷タンク併用) | 太陽熱や排熱で駆動。レアメタル不要で自然冷媒。短時間移動向き。 |
暖房 | 温水蓄熱タンク(太陽熱温水充填)+補助用マグネシウム電池ヒーター | 自宅で蓄熱したお湯と、必要時の低電力ヒーターで補う。空間全体ではなく局所暖房が中心。 |
●レアメタルフリー鉄道システム(人間補助型ATO)
プラウトヴィレッジではレアメタルフリーで運転士不要のATOで、鉄道運営を行う。ATO(Automatic Train Operation)は自動列車運転装置のことで、列車の加速・減速・停止を自動で制御する装置を指す。これにより運転士はいないが、乗客である住民が出発ボタンを押すだけで運転可能。距離・速度をアナログ制御で自動化。障害物センサー+非常ブレーキのみ搭載となる。
ATOの基本的な機能
機能 | 内容 |
自動加速 | 発車ボタンが押されると、自動で加速開始 |
巡航制御 | 所定の速度を保って走行 |
自動減速 | 駅やカーブが近づくと自動で減速 |
自動停止 | 駅の決められた位置で正確に止まる |
停止位置制御 | ドアがホームドアにぴったり合うように数十cm単位の位置合わせを行うことも |
アナログベースのATOの例
・出発ボタンを乗客または駅員が押す
・タイマーが起動し、◯分後に減速 → 停止
・障害物検知があれば、非常ブレーキが作動
・トラブル時は乗員が手動でブレーキ引く
常時自動運転が可能な理由(低資源設計)
要素 | 内容 |
1. 軌道誘導式だから | 鉄道はレール上を強制的に走る構造のため、基本的に「まっすぐ走る」「分岐通過」だけの判断で済む。道路のような進路選択は不要。 |
2. 停止位置が決まっている | 駅の停止位置は常に一定。つまり信号機やセンサーが少なくても「この距離をこの速度で走れば停まれる」ように機械式設計が可能。 |
3. アナログ機構で距離と速度を制御可能 | - 歯車式タイマー - アナログ回転数カウンター - ロータリーエンコーダー(非レアメタル)などで、「発車→一定時間で減速→停止」のパターン運行ができる。 |
4. 簡易センサーで安全停止 | レアメタル不要の赤外線 or 光学反射板などを使えば、障害物検知や駅ホームの存在検知も可能。常時自動運転+停止補助が実現できる。 |
5. 時刻表ベース運行 | 人による「出発ボタン」だけ押せば、あとは内蔵制御ユニットが自動で加速・減速・停止まで対応する。無人でも操作不要の「定型反復運転」が可能。 |
6. 速度が抑えめだから | 時速80〜120km程度なら、高精度な制御不要で安全停止が可能。たとえば航空機のようなミリ秒制御はいらない。 |
レアメタルフリーの鉄道システム(人間補助型ATO)設計概要
項目 | 内容・仕様説明 |
名称 | レアメタルフリー鉄道(人間監視型ATO) |
制御方式 | ATO(自動停止補助)+人間常駐型監視(手動切替可) |
最高速度 | 最大120 km/h以下(短距離は50〜65 km/h、中距離は80〜100 km/h) |
乗務員体制 | 乗員2名体制(運転士+監視員)で交代可能、1往復2時間以内を目安に担当区間設定 |
操作方式 | 常時自動運転+緊急時/手動切替用レバー・ブレーキあり(低技術者向け対応) |
監視方式 | 目視監視(操縦者+補佐の2名乗車制) 簡易光センサーまたはアナログ式ブレーキ補助あり |
通信方式 | ・鉄道沿線の有線中継+無線ビーコン(アナログ信号 or LoRa/BLE) ・メッシュネットでの路線情報送信(低レートでOK) ・乗車時に個人端末から情報送信すれば認証も可能 |
動力源 | 鉄道電化(外部電源) or 自走式(圧縮空気/バイオ燃料/人力補助)※区間に応じて選択 |
素材構成 | 本体フレーム:鉄・アルミ合金主体 制御装置:半導体極少量(シリコン系) 銅配線とアナログ回路中心 |
回路構成 | ・トランジスタやタイマーICなどシリコン主体 ・有機基板やセラミックコンデンサなどで代替可能 ・制御装置は修理可能なモジュール構造に |
乗客認証 | 改札なし 自由乗車方式+端末による列車内認証(ID送信 or 手入力) |
メンテナンス | 地域整備工房で部品交換可能なモジュラー設計工具1〜2本で分解可能 |
利用持続性 | 100年単位の車体使用可能性(鉄骨・木材・交換式台車) 地域住民主体の持続可能な運営 |
レアメタル使用量 | 制御装置:最大0.1g以下(センサー等最小限)可能な限り鉄・銅・アルミで代替 |
緊急対応 | ・緊急時の非常停止ボタンも完備 ・間違って発車しないようにドアが閉まってないとボタンが無効になるなどの安全機構も導入 |
制限対応 | 迷惑行為などによる「宿泊・車利用制限」により、移動困難化する補助制度あり |
災害対応 | 落雷・冠水などの自然リスクを考慮した絶縁・排水構造、低速でも運行可能 |
最大乗車人数 | 小型編成:20〜50名 中型:100名規模も可能(都市間輸送) |
発車担当者訓練 | 約2〜3時間の初回訓練 + 年1回の再訓練など 安全確認の手順、発車ボタン操作、緊急通報方法、判断訓練(判断できない時は中止)など |
この鉄道網はアジア・ヨーロッパ・アフリカの陸続きでつながり、南北アメリカ内でも結ばれ、オーストラリアでも結ばれる。そのためこの鉄道網は直線的に作って安全性を高め、そこから枝分かれして各地域につながる。
コンクリートは枯渇資源の一つでもあり、線路などを作る上で少量の使用に抑える必要がでてくる。
設備の素材
項目 | コンクリートなしでの対応 | コメント |
線路基礎(道床) | 砕石・粘土で代用可 | 締固め・排水設計がしっかりしていれば実現可能(森林鉄道等で実績あり) |
枕木・レール固定 | 木製枕木+犬釘など | 昔ながらの方法。ただし腐食や湿気対策は必要 |
橋梁 | 木造橋や石積み橋 | 小〜中規模までなら可能(大型は難しい) |
トンネル | 木材・石材での補強 | 長距離・高圧のトンネルでは不安が残る(小規模は可能) |
プラットフォーム | 土盛り+木材構造物 | 問題なし(ただしバリアフリーには配慮必要) |
車庫・整備基地 | 木造・土間構造で可 | 地域工房スタイルで対応可能 |
温暖化の影響でレールが高温変形することもあるので、次のような対策も検討する。
分類 | 対策内容 | 特徴・備考 |
素材 | 中炭素鋼/錬鉄 | レアメタル不使用・リサイクル性高・入手しやすい |
構造 | 短尺レール+伸縮継目 | 膨張の逃げを作る/施工がシンプル |
枕木 | 木製(防腐処理済) | 土着資源で再生産可能/レアメタル不要 |
道床 | 白系砕石+保水型バラスト | 遮熱・蒸発冷却/自然素材で対応可能 |
冷却 | 地熱や通気構造を活かした温度安定化 | 電力不要・持続的/簡易な土木工事で施工可能 |
監視 | バネ式温度インジケーター等のアナログ監視 | センサー不要/定期点検による安全確認が可能 |
運用 | 夏季の時間帯制限運行 | 日中の高温を避けることでレール負荷を軽減 |
●レアメタルフリーの電動フェリー
各大陸内で鉄道網が結ばれるが、海を渡るときはフェリーを利用する。飛行機と海底トンネルはレアメタル依存度・保守負荷が高く、持続可能性に問題があるため使用しない。また長距離を一回で渡るよりは、小さな島に寄港しながら安全性を高めて運営することが優先される。世界的に見てフェリー移動が必要な場所で、寄港しながらももっとも距離が長い部分は次の場所となる。
寄港しながらの航路距離と移動時間(概算)
区間 | 最大寄港間距離 | 総距離(概算) | フェリー速度 | 移動時間(概算) | 主な寄港ルート例 |
日本(北海道)→ユーラシア大陸(カムチャツカ南端) | 約40km | 約450km | 20km/h | 約22~24時間 | 羅臼、国後、択捉、宇禮布、得撫、新知、幌筵、幌筵北岸、パラムシル、Cape Lopatka |
フランス北部(カレー)→イギリス(ドーバー) | 約42km | 約42km | 20km/h | 約2時間 | カレー、ドーバー(英仏海峡) |
インドネシア(ロテ島)→オーストラリア北部(ダーウィン) | 約150km | 約950km | 20km/h | 約45~50時間 | ロテ島、アシュモア礁、カルティエ諸島、ブラウズ島、アデル島、ケンブリー沿岸諸島、ティウィ諸島、ダーウィン |
アリューシャン諸島全域〜アラスカ半島本土 | 約150km | 約1,800km | 20km/h | 約90時間 | メードヌイ島、ベリング島、アムチトカ島、アダク島、アクタン島、ウニマック島、アラスカ半島本土 |
補足
アジア大陸(ロシアのチュクチ半島)と北アメリカ大陸(アラスカ州の西端)を隔てるベーリング海峡は、冬季の海氷が厚く航行が困難で、気象条件が非常に厳しく安全確保が難しいため使用せず、代替ルートとしてアリューシャン列島の島々を経由する多段階航路が有力となる。
レアメタルフリーの電動フェリー 設計概要
項目 | 内容・仕様 |
構造・素材 | 鉄・アルミ合金・再生木材・竹繊維樹脂などの環境負荷低減素材。レアメタルは極力排除。部品交換式でメンテナンス容易。 |
動力方式 | マグネシウム電池など持続可能な二次電池を主電源とし、補助的に手回し・足踏み発電など人力発電も活用。低消費電力設計。 |
推進機構 | レアメタル不使用の磁石(フェライト系など)を用いた電動モーターによるプロペラ推進。省エネ・静音設計。 |
航続距離 | 最大航続距離350〜400 kmを目標に設計。寄港間距離150〜300 kmに対応。安全余裕を持つ。 |
船体サイズ・積載能力 | 中型フェリー規模(20〜60人乗船、物資1〜2トン程度)を基本とし、島間頻繁寄港に適応。船体全長は概ね20〜30メートル程度。 |
操縦・制御 | アナログ計器中心の手動操縦。最低限の電子制御でシンプル操作。住民資格制度による運航。 |
航行支援 | 電磁式簡易レーダー・音波センサー。紙地図・海路標識併用。無線通信はアナログ無線・LoRa中心。 |
安全装備 | 手動舵、手動ポンプ、消火器、ライフジャケット、煙信号、非常用手回し発電バックアップ。 |
修理・保守 | 地域工房でのパーツ交換・修理体制。船底・モーター分解可能。バッテリーはメンテ簡易設計。 |
環境対策 | 排気ガスゼロ。運行時の騒音・波浪影響低減設計。再生可能エネルギー補助。 |
気象対応 | 出港判断は地域管制で管理。風速・波高制限厳守。悪天候時は運行中止・遅延文化の徹底。 |
運用方式 | 島々の中継拠点で燃料・電力補給。住民参加型運営と訓練。運行記録は個人ID認証で管理し透明性確保。 |
補足
・最大区間150kmでも余裕を持って運航可能にするための設計指標。
・島間寄港頻度が高いため、小回りが利き短距離航行に強い船体設計が望ましい。
・電源は中継拠点の再生可能エネルギー設備と連携。
・船舶は軽量化と耐久性を両立し、安全かつ持続可能な運航を重視。
・住民参加型で運行されるため、簡素で統一された「小型航行免許」制度を世界共通で設ける。
船で移動が前提になると、沈没する可能性も上がる。そのため次の対策を徹底する。
対策項目 | 内容・仕様 |
寄港間隔 | 寄港間隔を短くし、船が沈没しても近くの島まで泳いで避難できる距離を確保 |
救命ボート・オール | 乗員・乗客全員分の救命ボートと木製オールを準備 |
電動スクリュープロペラ | レアメタル不使用のフェライト磁石モーターを搭載した手持ちか救命ボートへ備え付け電動スクリュープロペラとマグネシウム電池を採用 |
ライフジャケット・救命保温スーツ | 全員分のライフジャケットと救命用保温スーツを配備 |
簡易浮き輪・浮袋・レスキューロープ | 船内に携帯可能な簡易浮き輪、浮袋、レスキューロープを乗員数分用意 |
簡易位置発信機 | 各乗員分の水中対応ビーコンや無線発信器等の簡易位置発信機を用意 |
●世界交通網の所要時間
世界交通網の端から端までの最も長い距離は、南米最南端のアルゼンチン・ウシュアイア付近から南アフリカ・ケープタウン付近となる。
南米最南端→南アフリカ・ケープタウン ※乗り換え・待機時間は含まず。
区間 | 距離(km)※概算 | 交通手段 | 想定平均速度(km/h) | 移動時間(時間) |
南米最南端(アルゼンチン・ウシュアイア付近)→北米西海岸(アラスカ付近) | 約10,000 km | 専用直線鉄道 | 80 km/h(高速・持続可能設計) | 約125 時間(約5.2日) |
北米西海岸→アリューシャン列島経由→カムチャツカ(ロシア) | 約3,000 km | 持続可能フェリー(多段階) | 20 km/h | 約150 時間(約6.3日) |
カムチャツカ→ヨーロッパ(フランス北部) | 約7,000 km | 専用直線鉄道 | 80 km/h | 約87.5 時間(約3.6日) |
ヨーロッパ(フランス)→アフリカ北部(モロッコ付近) | 約1,500 km | 持続可能フェリー+鉄道 | 40 km/h(混合) | 約37.5 時間(約1.6日) |
アフリカ北部→アフリカ最南端(南アフリカ・ケープタウン付近) | 約6,000 km | 専用直線鉄道 | 80 km/h | 約75 時間(約3.1日) |
合計 | 約27,500 km |
|
| 約475時間(約19.8日) |
実際の移動はもっと細かく乗り換えをすることになり、この所要時間の合計は乗り換えや待機時間を含んでいないので、実際は2〜3倍を目安に考えた方が良い。
東京(日本) → ロンドン(イギリス) ※乗り換え・待機時間は含まず。
区間 | 距離 (km) | 交通手段 | 平均速度 (km/h) | 移動時間 (時間) |
東京 → 北海道 | 約1,000 km | 鉄道 | 80 km/h | 約12.5 時間 |
北海道 → カムチャツカ | 約250 km | フェリー | 20 km/h | 約12.5 時間 |
カムチャツカ → フランス北部 | 約8,000 km | 鉄道 | 80 km/h | 約100 時間 |
フランス北部 → ロンドン | 約70 km | フェリー | 20 km/h | 約3.5 時間 |
合計 | 約9,320 km |
|
| 約128.5 時間(約5.4日) |
東京(日本) → ニューヨーク(アメリカ) ※乗り換え・待機時間は含まず。
区間 | 距離 (km) | 交通手段 | 平均速度 (km/h) | 移動時間 (時間) |
東京 → 北海道 | 約1,000 km | 鉄道 | 80 km/h | 約12.5 時間 |
北海道 → アラスカ南部 | 約500 km | フェリー | 20 km/h | 約25 時間 |
アラスカ → カナダ西部 | 約2,000 km | 鉄道 | 80 km/h | 約25 時間 |
カナダ西部 → ニューヨーク | 約4,000 km | 鉄道 | 80 km/h | 約50 時間 |
合計 | 約7,500 km |
|
| 約112.5 時間(約4.7日) |
東京(日本) → シドニー(オーストラリア) ※乗り換え・待機時間は含まず。
区間 | 距離 (km) | 交通手段 | 平均速度 (km/h) | 移動時間 (時間) |
東京 → 北海道 | 約1,000 km | 鉄道 | 80 km/h | 約12.5 時間 |
北海道 → カムチャツカ | 約250 km | フェリー | 20 km/h | 約12.5 時間 |
カムチャツカ → オーストラリア北部(ダーウィン付近) | 約8,000 km | 鉄道+フェリー | 80 km/h (鉄道部分)、20 km/h (フェリー部分) | 約100 時間 |
オーストラリア北部 → シドニー | 約3,000 km | 鉄道 | 80 km/h | 約37.5 時間 |
合計 | 約12,250 km |
|
| 約162.5 時間(約6.8日) |
こうしてプラウトヴィレッジのミッドテック・レアメタルフリーの世界交通網では、以下のような理由から乗り換えが基本となる設計。
理由 | 説明 |
直通運行は管理が複雑 | 各自治体ごとに運行枠を管理しているため、直通列車の調整が困難。 |
安全・シンプルな管理 | 小区間ごとに責任を持つ方が、事故・混乱を防ぎやすい。 |
地域の役割分担 | 路線・駅・車両・運行管理を地域が分担し、持続可能な範囲で完結させる。 |
小規模・低速度運行 | 高速・長距離の直通運転はレアメタルフリー設計では負荷が大きい。 |
休憩・滞在が前提 | 「急ぐ」という概念が薄く、途中の村や街で数時間〜数日滞在も文化になる。 |
メリット
・移動自体が「旅」や「交流」の一部になる
・地元の人と話したり、地域文化に触れる機会が増える
・急がず、持続可能な速度で世界をつなぐ
受け入れるべき前提
・1つの国を横断するだけで数回以上の乗換が発生
・長距離移動は日数がかかる(数日〜数週間)
・各路線・自治体間の協力と調整が不可欠
●コンクリートの限定的使用
貨幣社会では世界中の道路舗装に、アスファルトとコンクリートの二つが使用されている。アスファルトは原油から作られるためやがて枯渇に直面し、製造過程では二酸化炭素を排出する。コンクリートの場合、土などを固めるセメント素材の中に石灰石(せっかいせき)が使用され、これを900℃以上の高温で燃やすと生石灰(せいせっかい)となり、二酸化炭素が放出される。また燃やすためにも石油や石炭など化石燃料を使い、二重で二酸化炭素が排出される。一部の統計では、セメント製造から排出される二酸化炭素は、世界全体で8%、日本では4%とされている。よってアスファルトは使用せず、コンクリートの利用は限定的となる。
世界交通網におけるコンクリート使用の整理
項目 | 内容 | コメント・目的 |
コンクリートの環境負荷 | ・石灰石を高温焼成しCO₂排出(製造で世界排出の約8%) ・化石燃料使用も重複してCO₂排出 ・コンクリート用の砂も枯渇問題に直面している | 気候変動の主要因の一つ |
プラウトヴィレッジでの使用制限 | ・建物構造:使用しない(石場建て+木材・藁) ・高速道路:不要(時速20km+鉄道) ・住民移動:簡易道路+電車 | ビルやマンションなど重構造物が不要なため、大量使用を回避可能 |
限定使用が許容される場面 | ・鉄道の線路・トンネル・橋梁・堤防・ダムなど構造耐久が求められる箇所 ・自治体内道路の一部(石畳優先) | 「構造安全性」が必要な部分のみ限定的に使用 |
代替技術①:再利用コンクリート | ・既存コンクリートの粉砕再利用(CO₂削減) | 利用できれば最優先選択肢 |
代替技術②:人造石(長七たたき) | ・真砂土10:石灰1+叩き締めて固化 ・大量人手必要、明治期の湾港工事等に使用 | 自然素材で戻せる。道路・護岸などに応用可能 |
代替技術③:土壁系固化素材 | ・土+砂+消石灰+にがり水で固化 ・土の性質に応じて素材と配合変更 | 家屋や塀などに応用可能(セメントを避ける) |
将来の選択肢 | ・石灰石も使わず土を固める技術の登場 | 化石資源依存ゼロの建材へ進化可能性あり |
プラウトヴィレッジでは | ・「大量建築・大量道路網」の動機が消える ・コンクリート使用そのものの需要が縮小 | 構造的に使用量を減らせる |
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