2章⑤ 電子機器 : 持続可能な社会プラウトヴィレッジ 第三版

 

○個人ID認証システム


 行く先々の自治体の宿泊施設や車の利用時は、個人IDを入力して利用をする。このIDは利用者の出身自治体で管理されている。IDを入力すれば移動先自治体の端末が利用者の出身自治体のデーターベースに確認し、利用OKかNGかの返答が返ってくる。もし過去に問題行動があればNGになる。

 またこれは一人旅で仮に死亡事故があった場合に、その場に居合わせた周囲の人が個人端末やメモなどに書かれた個人IDを入力すれば、亡くなった本人の出身自治体に報告できる仕組みにもなる。同様に個人情報には医療履歴なども含まれる。次の表はその詳細。


個人ID認証システム

項目

内容・仕様説明

目的

世界中の自治体間で個人の移動・利用権限を管理しつつ、迷惑行為抑止や資源分配の公平化をはかる。宿泊施設・車両の利用時に認証を行い、制限もかける。

情報内容

氏名、生年月日、住所、血縁関係、医療記録、Duty Share、鉄道やフェリーの運転免許の有無、フェリーの乗船記録、生活制限措置の有無、宿泊施設・車両の利用制限の有無など

個人ID発行

出身自治体が個人IDを一つ発行し、本人端末もしくはメモなどで保存。個人情報は暗号化で保護。

認証方法

- 個人端末が読み取り機にIDを自動送信・認証
- 端末が無い場合は手入力。忘れた場合は利用不可など

情報管理

- 出身自治体が本人の行動履歴や利用制限情報を管理
- 他自治体との情報共有ネットワークで利用制限の連携
- 迷惑行為通報は周囲の端末から発信可能(近距離表示・方角などから特定)

プライバシー保護

- 個人情報は閲覧権限別に管理。認証端末によって閲覧可能情報が異なる
- 個人端末側で本人が閲覧許可設定可能

迷惑行為対応

- 迷惑行為者のIDは出身自治体に通報される
- 利用制限や資源配分制限を自治体単位で設定

技術仕様

- 端末はレアメタルフリー設計(鉄・銅・アルミ主体)
- 通信は低消費無線(LoRaなど)+メッシュネットワーク
- 認証端末は最小限の電子部品で耐久性高く修理可能
- 暗号処理は最小限に留める設計

運用形態

- 各自治体に中継・管理PC設置
- 地域間は中継PC同士で情報同期
- 地元工房による端末の修理・アップデート対応
- 年間大量製造可能だが環境負荷極小

利用制限の範囲

- 宿泊・車の利用は認証必須
- 電車は自由乗車(制限なし)

- 問題者は宿泊や車利用制限により自然に移動困難に

利便性

- 個人端末は緊急時の本人確認や医療履歴提示にも利用可能
- 災害時の連絡網や生存確認インフラにも対応

持続可能性

- レアメタル不要で資源循環型の端末設計
- 部品モジュール化で修理・交換容易- 長期運用(数百年)を想定し地域主導で保守




○水質管理

 ​​プラウトヴィレッジではレアメタルを極力使わず、「住民主体+必要に応じて浄水場的設備を補完するハイブリッド方式」で飲料水の水質管理を目指す。

方法・設備名

内容・特徴

役割・効果

レアメタル依存度

住民製造・管理可能性

山水・湧水の適切取水

上流の環境保全を行い、自然のきれいな水を確保。汚染源を避ける管理が重要。

安定した水源の確保。原水の質を良くする基盤。

なし

可能(住民主体で管理)

砂利・砂フィルター

粗大な汚れや浮遊物を除去。単純でメンテナンスも容易。

物理的ろ過による水質向上の一次処理。

なし

可能(簡単に製造・修理可能)

バイオサンドフィルター

微生物層を利用しバクテリアや一部病原菌を自然分解。適切な管理で高い浄化能力を維持。

細菌・病原体の減少。安全性向上。

なし

可能(現地材料で製造・維持可能)

煮沸・太陽熱消毒(SODIS法)

煮沸(しゃふつ)や太陽に晒す方法で病原菌を殺菌。エネルギー・コストはかかるが効果的。

病原菌の確実な殺菌。

なし

可能(個人または家庭単位で実施)

小型クロロ消毒ユニット

自治体規模で必要な際、簡易的な塩素注入装置を使用。適切な管理で残留塩素による二次汚染防止も可能。

化学的殺菌の補完。浄水の安全性強化。

少量使用あり

部品調達はやや専門性必要だが維持可能

地下浸透ろ過池

土壌や砂層を通すことでさらに物理的・生物的に浄化。持続可能でメンテナンスが比較的簡単。

水質の二次浄化。微生物除去の補完。

なし

可能(土木技術があれば実施可能)

教育・住民参加プログラム

水質管理や設備維持の重要性を住民に教育。水の適切な取り扱い・衛生習慣の普及。

持続可能な運営と安全性確保。

なし

可能(地域社会の協力次第)


補足

⚫︎高度な浄水場や配管設備は最小限に抑え、レアメタル依存を減らす。
⚫︎自治体レベルでの簡単な技術や住民参加での管理を基本にすることで持続可能性を高める。
⚫︎必要に応じて、自治体間で共有可能な専門設備や技術者による定期的な点検・補完を行う。


○印刷


 教育など様々な用途に使う文書の印刷にはレアメタルの枯渇問題からPCなど電子機器は使われず、タイプライターを使うことになる。そしてその印刷した文書の複製には、ガリ版ローラー印刷と活版印刷を使う。ガリ版ローラー印刷とは、例えば「STOP」とくり抜かれた型紙にスプレーを吹きつけて、文字を壁に印刷するような方式。活版印刷は例えば一文字ずつ彫られたハンコを並べ、インクをつけて紙に押す印刷方法。そしてインクは自然素材のものを使用する。


自然素材インク一覧

インクの種類

主原料

特徴・適用例

墨(すみ)

松煙(木の煤)+植物油+膠

黒色。日本・東アジア伝統の安全で長期保存可能なインク。書道・印刷向き。

木炭インク

木炭粉+植物油 or 水+でんぷん糊

黒色。簡単に作れて再生可能。ガリ版印刷のインクとして最適。

鉄胆インク(鉄筆インク)

五倍子(天然樹脂)+鉄塩+アラビアゴム

黒色。耐久性が高く、書類印刷に適する。プラウトでも少量採取可能。

土・鉱物顔料インク

赤土、黄土、群青(藍銅鉱)など

自然色の顔料を活かせる。活版印刷やスタンプ向けに使いやすい。

植物性染料インク

アイ(藍)、紅花、ログウッドなど

自然な色合い(青、赤など)。ただし色あせに注意。装飾や掲示物に適す。



○医療


 MRI装置、CT装置、心電計、血液分析装置、内視鏡システムなどもレアメタルが使用されている。そのため世界中でレアメタル依存の医療体制を続けていくと、やがては使用に制限がでてくる可能性がある。そこでプラウトヴィレッジでは次のことが医療方針となる。

医療方針

方針

具体的な内容

目的・意義

① 伝統医療・予防医療が大前提

・自然療法、食事療法、ハーブ、鍼灸、瞑想などを日常に導入

・地域に伝わる伝統知を継承・活用

・病気を未然に防ぐ

・レアメタル機器への依存を低減

② 高度医療設備は最小限に

・MRIやCTなどは共同利用

・1自治体1台までなど

・診断や検査は低レアメタル機器を優先

・資源消費の抑制

・必要最小限の体制で持続可能性を維持

③ レアメタルフリー機器の開発促進

・大学や技術者と連携し、フェライト磁石、有機半導体、新素材による代替技術を研究開発

・将来に向けた資源制約の克服

・持続可能な医療体制の構築


 レアメタルレス機器の開発研究のためのPCなどは、研究室に複数台設置する。次の表はその理由。

観点

内容

1. 長期的投資価値

レアメタルを節約できる医療機器の開発は、今後数十年の医療資源負荷を劇的に軽減できる。

2. 費用対効果

PC数台(研究専用)は、MRI装置1台に比べても圧倒的に資源使用が少なく、省資源な知的投資。

3. 技術の波及性

開発されたミッドテック医療機器は他自治体、他国にも展開可能で、社会全体への貢献度が高い。

4. 分野の広がり

医療に限らず、水管理・農業・教育への応用技術へもつながる。PC研究設備は汎用性がある。


 プラウトヴィレッジの医師養成は、人格的にも信頼できる医師に医療リーダーを依頼し、その医師が新しい医師を育成する師弟関係を基盤とする。リーダーの推薦により新医師は独り立ちでき、その後も住民の評価や人格面で問題がなければ、その医師は後輩を育てるリーダーとして自治体から依頼される。こうした仕組みにより、持続的かつ信頼性の高い医療体制の確立を目指す。


○工場設備一覧


 ここではプラウトヴィレッジに必要な工場設備をまとめており、すべてはレアメタルフリーのミッドテックで作られる。そのため技術ハードルはかなり低く抑えられているのが特徴。よって世界中の多様な地域で、共有・展開がしやすく、人材育成の障壁も低くなっている。

 次の表は家電や重機を、製造・修理・リサイクルするための工場設備。


●家電工場設備

フェーズ

設備・施設名

役割・特徴(簡潔まとめ)

1. 原料採取

鉄鉱石・銅鉱石採掘場

小規模分散型で地産地消の鉄・銅鉱石採掘


木材伐採・加工場

間伐材・再生木材活用の建材・筐体用木材加工


天然ゴム・植物繊維収集所

バイオ由来の防振・絶縁素材用ゴム・繊維収集


耐腐食天然塩採集所

金属・木材の耐腐食剤採集で耐海水性向上


バイオマス作物農園

高繊維植物の栽培でバイオコンポジット原料供給


都市鉱山回収センター

廃スマホ・家電から銅・鉄など再資源回収

2. 原料精錬・前処理

鉄・銅製錬所

鉱石・廃材から金属インゴットを高効率製錬


木材加工工場

重機・家電用の木材切断・乾燥・成型加工


天然素材処理設備

ゴム・竹繊維の成形前処理で絶縁・防振材製造


バイオプラスチック原料発酵設備

でんぷん・糖から環境負荷低減型樹脂製造


シリコン精製プラント

砂から高純度シリコン・ガラス基板を製造


ガラス・セラミック工場

シリカ砂から窓ガラス・強化ガラス・ガラス基板・セラミックろ過膜を製造し、水質管理装置や端末・家電の耐熱・絶縁部品も製造可能

3. 部品加工

鍛造・プレス工場

1500tプレスで重機・家電フレーム等の成型


機械加工工場

軸・精密金属部品の加工とメンテ容易設計


木工機械工場

地元木材を活用した家電・端末筐体加工


射出成形・押出成形ライン

バイオプラスチックで端末ケース等を成形


PCB・配線ハーネス加工所

無鉛はんだ使用の銅基板・線材加工と規格統一


セラミック膜・ろ過タンク成形所

水質浄化装置用交換可能モジュール成形

4. 電子・制御部品製造

低消費アナログIC工場

レアメタル極小化ICでATO・計器・家電制御製造


機械式制御部品工場

故障に強く修理容易なスイッチ・レバー製造


HFトランシーバ・LoRaメッシュ工場

低周波無線機・通信モジュールの製造と安全運用


ニッケル鉄・Naイオン電池組立工場

長寿命代替電池で重機・端末用バッテリー製造


白熱電球/LCD表示モジュール組立工場

インジウムレスLCD表示部と白熱電球を端末・家電向けに製造

5. 組立・検査

組立ライン(端末・家電・重機)

モジュール化部品を組立、現地施工も可能


機能検査設備

動力・通信・制御の多機能試験に対応

6. 試運転・調整

試運転フィールド

重機・端末の動作確認、地域特性に適応調整


電波通信試験場

HFメッシュ通信の混線・距離・信頼性検証

7. メンテナンス・修理

修理工房(端末・通信機)

基板交換やファーム更新を行い技術者育成も実施


重機・家電修理工場

規格化部品で修理しやすく塗装・再生も対応

8. リサイクル・廃棄処理

E-waste分解ライン

端末基板粉砕で銅・ガラスを効率的に分別回収


家電素材分別工場

スチール・木材・バイオプラスチックを90%以上回収


コンポスト熟成施設

バイオトイレ・食品残渣を有機処理し農地還元


再生素材ストックヤード

再生金属・樹脂・木材の保管・供給で在庫最適化


 電車やフェリー用の工場も、基本的には家電工場と同じような設備になってくる。ただその規模と数、設置場所は異なる。


●3つの工場設備の比較

項目

ミッドテック工場

(端末・家電・重機等)

電車工場

電動フェリー工場

配置目安

約5万5,000人の自治体1つにつき1工場

5万5000人の自治体5つ分に1工場

港ごとに1工場

工場サイズの目安

約10,000㎡

(約100m×100m)

約50,000㎡

(約224m×224m程度)

約18,500㎡

(135m×135m程度)

規模・重さ

小〜中型機械と電子部品中心

大型構造材加工・長尺部品多い

船体構造材+耐海水加工必須

主要素材

銅・シリコン主体など

大型鋼材・合金・木材

船体用鋼材+耐腐食処理・木材

加工技術

精密電子・プレス・射出成形

大型溶接・機械加工・鍛造

船体溶接・防水検査・浮力試験

試験設備

電子・機械耐久試験(中規模屋内)

線路試運転エリア(数百メートル規模)

水路試運転・浮力検査槽(数十m~100m規模)

制御・通信

端末・家電通信機器

ATO制御・車両通信

船舶通信・安全制御機器

メンテ・修理

小型部品交換中心(工房規模)

台車・車体大物修理(中~大型ドック)

船底・推進部修理中心(大型ドック・造船所級)


 自治体には衣類工場も作られる。

●衣類工場

工程フェーズ

設備名

主な役割・特徴

備考

① 原料調達・初期処理

綿繰り機・麻繊維抽出装置

綿花から種を取り除く/麻・竹の繊維を抽出

電動または足踏み式。回転部分は鉄・銅・木材等で構成可能


脱膠(だっこう)・軟化処理槽(麻・竹)

繊維を柔らかくし、紡績に適した状態に加工

加熱はバイオマス・電気・太陽熱を活用可


洗浄・乾燥ユニット

異物除去と衛生処理、送風乾燥

ソーラー乾燥や自然通風も併用可能

② 繊維加工(糸へ)

電動カーダー(綿打ち機)

繊維の方向を整え、糸の前処理

手動式も併用可能


小型電動紡績機

均一な糸を高速で生産(リング式・ローター式)

トルクを必要としない省電力設計が可能

③ 染色

天然染料用染色槽

藍、鉄、植物性染料を使用し、糸または布を染色

電加熱式・発酵染色も可能

④ 織布(布の製造)

電動小型シャトル織機

糸から布を織る(幅1m程度まで)

フットペダル併用で電力節約可能


巻き取り・張力制御機構

均等なテンションで布を巻き取る

木・鉄・バネで構成可能

⑤ 仕上げ処理

電動ローラー仕上げ装置

布のしわを伸ばし、防縮・柔軟加工を行う

アイロン的役割/低温加熱も可


断裁機・端処理機

必要寸法に布を切り、端を焼く/巻くなど処理

手動式もあり

⑥ 裁縫・縫製

電動直線ミシン・ジグザグミシン

衣類・袋物・布製品などの縫製

100V電源で駆動、鉄・銅モーター可


手動ボタン付け・装飾機器

ボタン・パーツの縫い付け、簡単な刺繍

手縫いと併用可

⑦ 修理・再生

再染色釜・補修用裁断機

色落ちの再染色・古布の再利用、パッチワーク

循環型工房の一部


小型再紡績機(古布→糸)

古い布をほぐし、再び糸に加工

糸再生で持続性向上



 次の表は衣類用に栽培する植物の例。


●衣類用植物一覧

植物名

用途

特徴

備考

綿(わた)

糸、布

肌触りが良く、保温・吸湿性あり

水を多く使うため雨季中心栽培や節水型品種が望ましい

麻(大麻・苧麻・亜麻)

糸、布

丈夫で通気性が良く、速乾性

脱膠処理が必要/湿潤な気候でも育つ

竹(ちく)

繊維(竹繊維布)

抗菌性あり、成長が非常に早い

硬いため繊維化に加工工程が必要

カラムシ(苧)

苧績み糸、布

日本古来の繊維植物/軽く通気性に優れる

山地や半野生でも育つ/苧麻の一種

ラミー(苧麻)

糸、布

シャリ感のある高強度繊維

漂白せずに使うことで環境負荷低減

ヘンプ(産業用大麻)

糸、布、ロープ

丈夫で防虫性があり、土壌改善も兼ねる

法規制に注意(日本では研究栽培・許可制)

サイザル麻

ロープ・袋布

高強度でザラっとした繊維/水分に強い

寒冷地では難しいが温暖地で有望

パイナップルリーフファイバー(Pina)

布(ピニャテックス)

軽く光沢があり、革代替素材にも

果実収穫後の葉を有効活用(副産物)

ネトル(イラクサ類)

ヨーロッパの伝統繊維/低管理でも育つ

環境負荷が低いが、加工はやや難

木綿葛(コットンバイン)

熱帯原産/綿の代用に使える

一部の地域で実験栽培中


 住居の冷暖房にはアンモニアを利用するが、そのアンモニアは人間の尿から回収する。尿を集めたタンクで加熱し、アンモニアを気体として蒸発させる。蒸発したアンモニアガスは冷却され、水に吸収されてアンモニア水となり、冷媒や肥料などに利用する。よって自治体中心部のトイレから直接タンクに尿が溜まる作りにする。住民は必要なときにアンモニア水を持って帰る。

●アンモニア製造設備

ブロック

内容

面積目安

集尿タンク

一時貯留+撹拌

約5〜10㎥程度×2槽(交互運転)

加熱槽+pH調整

尿に灰・石灰を添加し、加温(50〜70℃)

約10㎡

ストリッピング塔

アンモニア気化→分離

直立型タワー、数m程度

吸収槽

アンモニアガスを水に溶解(アンモニア水製造)

密閉タンク式(500L〜1,000L)

詰め替え・配布所

希望者が容器を持ってきて充填

簡易屋根付きの受け渡しステーション

雨水・洗浄水処理

排水管理、再利用または肥料化

併設の簡易水処理または畑直送

その他

太陽熱集熱器/薪ボイラー・断熱処理

設備周囲に配置

注意点

・屋外設置で自然換気が確保され、アンモニアガス濃度が危険レベルに達しにくい。
・雨・風・寒暖差への耐性を考慮する。
・周囲の安全対策(フェンス設置、立入禁止区域の明示)
・周辺住民への臭気対策



●アンモニアの処理量と回収量

項目

数値・内容

備考

利用者数想定

約13,750人/日

自治体中心部トイレ利用者25%

尿タンク周辺トイレ数

40個(男女各20個)


1回あたり排尿量

約0.3L

1日2回のトイレ利用で仮定

1日あたり排尿量

約0.6L

0.3L × 2回

尿排出量

約8,250L/日(約8.3㎥)

13,750人 × 0.6L

尿中アンモニア含有量

約5g/L


総アンモニア含有量

約41.3kg/日

8,250L × 5g

アンモニア回収効率

約70%

回収可能割合の想定値

回収アンモニア量

約29kg/日

41.3kg × 0.7

アンモニア水換算(25%濃度)

約116L/日

29kg ÷ 0.25

製造可能アンモニア水量

約120L/日

四捨五入

1回あたり持ち帰り量

3L/回

利用者の携帯しやすい容量仮定

1日あたり持ち帰り人数

約40人/日

120L ÷ 3L

補足


設備が足りなければもう台数を増やす


●アンモニア水の配布運用(想定)

項目

内容

配布量

希望者ごとに1〜5L/回を持ち帰り(農業・冷媒など用途別)

希望者数(仮)

1日20〜50人の利用で運営可能(年間2万人分供給)

容器

自己持参 or 繰り返し使用容器(自治体で回収・洗浄も可能)

説明

利用前に簡単な安全教育(掲示+10分程度の動画など)

配布時間

日中2回程度(朝・夕)、職員 or 当番制ボランティアで対応



 車のタイヤなどに利用されるゴムは南半球ではパラゴムノキ、北半球ではロシアンタンポポから抽出する。ロシアンタンポポは研究開発が進んでいる段階なので、日本では熱帯地域でしか育たないパラゴムノキ由来のゴムが使用され、ほぼ100%輸入に頼っている。ただこのタイヤは自然分解されず、廃棄物問題となっている。

 ロシアンタンポポは北海道や東北でも栽培実績が報告されており、パラゴムノキよりも広範囲で栽培可能。また1年以内に収穫可能となっており、パラゴムノキは7年目で採取が開始される。プラウトヴィレッジでは年間1回交換ペースを前提に、数ヶ月〜数年ほどで自然分解可能な、ロシアンタンポポ由来の無添加・非加硫天然ゴムタイヤを製造する。


●ロシアンタンポポ由来ゴム製造設備一覧(中小規模想定)

ブロック

設備内容

規模・容量目安

主な役割・備考

原料処理

ロシアンタンポポの採取・洗浄・乾燥設備

収穫量に応じて可変

ゴムの元となる樹液を抽出しやすくする前処理

樹液抽出

圧搾機または蒸気抽出装置

数百kg/日〜数トン/日

ゴム成分を含む乳液を抽出

天然ゴム精製

遠心分離機・沈降槽

数百リットル/日

乳液からゴムを分離し、不純物除去

ゴム調整

混練機(添加物なし)

数百kg/バッチ

天然繊維(麻・ヘンプなど)を混練し補強材として添加

成形

タイヤ用成形機(型押し)

1バッチ数十〜数百本

タイヤ形状に成形。加硫なしのため熱成形のみ

乾燥・硬化

低温乾燥炉(約50〜70℃)

数百本/日

加硫なしで自然硬化促進。熱負荷低く省エネ

検査・仕上げ

視覚・物理検査設備

数百本/日

サイズ・強度・外観検査

包装・出荷

簡易包装設備

日量に合わせる

環境配慮包装(紙・生分解素材)


 この全体の工場群(家電・電車・衣類・アンモニア・ゴム)をフル稼働させるには、少なくとも329人の常勤スタッフが必要になる。使い方に慣れ、一部の人が複数フェーズを兼務できるようになると、もっと効率化可能。


人員構成の概要

工場カテゴリ

人員数(人)

家電工場(8フェーズ)※原料採取含む

200人

電車・フェリー工場

70人

衣類工場(7フェーズ)

43人

アンモニア設備

6人

天然ゴム(ロシアンタンポポ)工場

10人

合計

329人


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