◯自然界の法則、S字カーブ、ベル型、のこぎり型
自然界の法則としてみられるS字カーブは、文明の発展や人口の増え方にも見られる。S字カーブとは何かの成長や普及が進むときに、ゆっくり上昇 → 急激上昇 → 安定維持と進む様子をグラフで表したもの。
S字カーブ、アメリカの家庭における電気の普及率(1908年〜2005年)
ベル型はS字カーブで急激に成長したものが、頂点から急激に減少していくタイプ。
ベル型の例、年齢別HIV/AIDS死亡率、世界
のこぎり型はベル型の急上昇と急下降を繰り返すタイプ。
のこぎり型の例、世界の新規コロナ感染者と死者数(2020年〜2025年)
こういったS字カーブから続く現象は自然の中でも見られ、この宇宙の法則となっている。またS字カーブを描き、急激な成長期の後には必ず何らかの反動や限界が現れる。
S字成長の例とその特徴
古代から人間の文明は、興っては滅びることを繰り返してきた。都市国家が誕生し、S字カーブで人口が増加するが、やがてさまざまな要因が重なって人口が減少し、文明は崩壊する。
文明崩壊の典型的な流れ
次に実際の文明の大まかな流れをいくつか見てみる。
メソポタミア文明の流れ
マヤ文明の流れ
ローマ帝国の流れ
イースター島文明の流れ
S字カーブは数十年、数百年、数千年、数万年と様々な時間軸で見られる。数千年のS字カーブの中に数百年のS字カーブがいくつも見られたりする。では2020年代の貨幣社会を見た時に、この文明はS字カーブのどの段階なのかを見てみる。
世界の人口(紀元前4000年〜2023年)
世界人口のグラフを見ると、まさにS字カーブの急成長の部分にいる。人口は2100年には89億人から124億人に達し、ここがピークでそこから減少すると予測されている。減少の背景には1960年代中頃から続く世界的なTFRの低下がある。ただそれでも人口が増加しているのは、都市でも農村でも医療設備が整ってきたことと、まだTFRが2.1人を上回る国が多いため。
人間の平均寿命80歳の時間軸で世界人口の増加を見ると、貨幣文明はもう少し成長し、頂点期は先のように見える。ただ実際は世界的なTFRの低下、気候変動、環境破壊、資源枯渇、経済格差、世界的な統治機能不全による戦争の勃発などの問題があり、文明崩壊の典型的な流れで見ると過負荷期(かふかき)に入っており、崩壊期にも差し掛かっている段階と見える。
人口増加に比例して、世界的なエネルギー消費量も増加している。その大部分を占めるが天然ガス(Natural gas)、石油(Oil)、石炭(Coal)の化石資源、そして原子力(Nuclear)はウランという鉱物資源となっている。
エネルギー源別の世界の一次エネルギー消費量
https://ourworldindata.org/grapher/global-energy-substitution
天然ガス、石油、石炭、ウランはやがて枯渇するが、枯渇直前には消費の抑制・価格上昇・戦略備蓄など使用制限が行われる。つまり一般的に使用できる年数は枯渇年よりさらに短くなる。
主なエネルギー資源の推定枯渇年
2020年時点の化石燃料の埋蔵量の残り年数
https://ourworldindata.org/grapher/years-of-fossil-fuel-reserves-left
石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料は燃焼時に大量の二酸化炭素を排出する。これが地球温暖化の主要な原因の一つとされている。そのため、温暖化対策としても化石燃料の使用は段階的に制限される方向にあり、実際の資源枯渇前に政策的・技術的な制限がかかることが予想される。原子力発電は放射性廃棄物の処理問題、建設費の高さ、建設時間の長さ、政治・社会的な抵抗もあり、使用拡大が難しくなっている。
世界の二酸化炭素排出量に占めるエネルギー産業の割合は約70~75%程度となっており、二酸化炭素の排出量もS字カーブで上昇している。
世界の年間の二酸化炭素排出量
https://ourworldindata.org/grapher/annual-co2-emissions-per-country?country=USA~GBR~IND~CHN~FRA~DEU~BRA~OWID_WRL
二酸化炭素が増えると、次のような流れとなる。二酸化炭素排出 → 大気中濃度上昇 → 熱の宇宙への放出減少 → 地球表面の熱蓄積 → 気温上昇。
産業革命前の時代と比べた世界の年間気温偏差
https://ourworldindata.org/grapher/temperature-anomaly
IPCC第6次評価報告書では、化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない、最大排出量のシナリオ(SSP5-8.5)においては、2100年までに3.3~5.7℃の昇温を予測している。
出典:
2100年までの世界平均気温の変化予測(1~2100年・観測と予測), JCCCA: Japan Center for Climate Change Actions
https://www.jccca.org/download/43044
産業革命以前の期間を基準とした、世界の年間海面水温の異常値
https://ourworldindata.org/grapher/sea-surface-temperature-anomaly
気候変動による気温と海水温の上昇により、北極海の海氷面積も減少傾向にある。2月頃(February)に海水が凍りついて海氷面積が最大になり、9月頃(September)に気温が上昇し、氷が溶けて海氷面積が最小になる。
北極海の海氷面積(1979年〜2025年)
そして北極、南極、グリーンランドなどの陸上の氷が溶けて海に流れ込み、海面が上昇している。
海面上昇
世界の平均海面水位の上昇は、1993年~2008年の平均海面水位を基準として測定されている。
https://ourworldindata.org/grapher/sea-level
AMOC(エーモック)
出典:NASA(Public Domain)
北極やグリーンランドの氷が溶けていることによって、AMOC(エーモック / Atlantic Meridional Overturning Circulation)と呼ばれる大西洋の海水の南北循環にも異変が見られている。通常、冷たくて塩分濃度の高い海水は重く沈み、深い海流となって南へ流れる。この沈み込みがAMOCの原動力で、海の表面では温かい海流が北へ向かう循環ができている。しかし北極などの氷が溶け、塩分が少ない大量の淡水が北大西洋に流れ込む。これにより海の塩分濃度が下がる。こうして海水が軽くなり沈みにくくなると、海流の循環が弱まってしまう。
このAMOCが弱まると、ヨーロッパが寒くなったり、アフリカや南米で雨が減ったり、洪水が増えたり、海の生き物や漁業に悪影響が出る。そして世界の気候の極端化や予測困難な天候が増える恐れがある。科学的予測では、AMOCは2100年までにさらに弱まる可能性が高い。つまり二酸化炭素の排出→気温上昇→北極などの氷が解ける→AMOCが弱まる→予測不可能な天候が増える、という悪循環が起こっている。
2021年に発表されたUCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)の研究者を含む研究では、AMOCは過去1000年で最も弱くなっていると指摘され、一度AMOCが大幅に弱まると元の状態に戻るのが困難になる可能性がある。
出典:
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL). (2021年2月25日).
「Earth’s Gulf Stream System at its weakest in over a millennium」UCL News.
https://www.ucl.ac.uk/news/2021/feb/earths-gulf-stream-system-its-weakest-over-millennium
GDP(Gross Domestic Product=国内総生産)はその国の経済活動の大きさを表す代表的な指標で、どれだけモノやサービスが取引されているかを数値化したもの。単純な生産量ではなく、市場価値(価格 × 数量)で評価する。例えば同じ量を作っても、高付加価値品ならGDPに大きく貢献する。
この概念が正式に生み出されたのは1930年代。世界のGDPもS字カーブで上昇している。
世界のGDPの長期推移(1700年から2023年まで)
https://ourworldindata.org/grapher/global-gdp-over-the-long-run?time=1700..latest
経済活動が上昇している一方、資産格差が広がっている。富裕層の資産が極めて高く上昇する一方で、貧困層の資産が非常に低いことが示されており、世界的な資産格差が非常に大きいことがわかる。この格差が広がると富裕層と貧困層の間で、社会的な対立や不満が強まる。また富裕層が政治や政策に強い影響力を持ち、貧困層の声が届きにくくなる。また資産のある層だけが良質な教育や医療サービスを受けられたり、貧困層の増加により、犯罪や精神的・身体的健康問題などが社会問題化しやすくなる。
1995年から2014年までの所得階層別の一人当たり総資産
High income : OECD(高所得者:OECD加盟国、日本、米国、ドイツなど先進国が多い)
High income : non-OECD(高所得者:OECD非加盟国、中国、インド、ブラジルなど新興国や発展途上国が多い)
World(世界全体)
Upper middle income(上位中所得者)
Low income(低所得者)
https://ourworldindata.org/grapher/total-wealth-per-capita-by-income-groups-in-2014-us-dollars
核兵器の拡散
核兵器の保有を検討している(considering)、追求している(pursuing)、または保有している国(possesssing)の数。保有している国は2025年で米国、ロシア、中国、フランス、英国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9カ国。合計で約12,500発の核弾頭を所有しており、このうち約9,500発が運用可能な状態にある。
https://ourworldindata.org/grapher/nuclear-weapons-proliferation
通信技術の普及状況(世界)
https://ourworldindata.org/grapher/ict-adoption
通信技術は世界的に普及しているが、それら電子機器に使われる資源の利用量も増加している。
世界の鉱物鉱山の生産量(1901年〜2023年)
スマホ、PC、医療機器などあらゆる電子機器に、レアメタルと呼ばれる希少金属が使用されている。それらは鉱山で採掘される。ただその量が少なく、枯渇が近づいているものがある。つまりやがて電子機器の製造が制限されていくということになる。
Cobalt(コバルト)、Copper(銅)、Graphite(黒鉛)、Lithium(リチウム)、Nickel(ニッケル)、Rare earths(希土類)、Silver(銀)、Tin(スズ)、Tantalum(タンタル)、Zinc(亜鉛)、Niobium(ニオブ)、Antimony(アンチモン)
https://ourworldindata.org/grapher/global-mine-production-minerals?country=Cobalt~Copper~Graphite~Lithium~Nickel~Rare+earths~Silver~Tin~Tantalum~Zinc~Niobium~Antimony
次の表は理論上の枯渇年順に並べたもの。現実的に枯渇する前に鉱山国による輸出制限が行われるので、供給量が減少する可能性がある。また、人口が増えればスマホ・PC・AIサーバーなどの普及が急速に進み生産量が増え、理論上の枯渇年も早まる可能性がある。反対に新規鉱山の発見や技術進歩で枯渇年が遅くなることもある。
参考にしたU.S. Geological Surveyの資源の国別の埋蔵量のデータには「利用可能なデータがない(NA)」という国もあるので、その場合は下記の表の埋蔵量の部分に「◯◯万トン以上」という表記で下限目安となる。同じく理論上の枯渇年も、分かっている埋蔵量で計算した下限目安の年という意味合いになる。
レアメタル・ベースメタルの理論的な枯渇年目安(2025年度)
補足:
・R/P比(年)は埋蔵量 ÷ 年間生産量で計算。
出典:
U.S. Geological Survey (USGS), 2025, Mineral Commodity Summaries 2025 (version 1.2, March 2025): U.S. Geological Survey, 212 p., https://doi.org/10.3133/mcs2025.
MINERAL COMMODITY SUMMARIES 2025, https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2025/mcs2025.pdf
SCRREEN, Indium CRM Factsheet 2020, European Commission, 2023
https://scrreen.eu/wp-content/uploads/2023/01/INDIUM_CRM_2020_Factsheets_critical_Final.pdf?utm_source=chatgpt.com
理論上の枯渇年が2039年のスズから2068年の銅までの複数の資源が枯渇や供給制限のリスクに直面すると、金属の供給不足 → 価格上昇・性能低下 → スマホ全体の性能・価格バランスに影響を与える。特に代替困難なコバルト、インジウム、銀は、電池やディスプレイ性能に直接的な制約を与える。つまり資源の制約により、必然的にハイテク技術の性能は落ちてくる。
さらに、2010年に中国は枯渇がまだ先のレアアースの戦略的輸出制限を行った。枯渇年から見れば100年以上前倒しとなる。レアメタルは中国・コンゴ・南アフリカ・チリ・アルゼンチン・ブラジル・ロシア・オーストラリアなどに集中しているので、国の事情により輸出制限がされる可能性がある。よって枯渇年よりも10〜20年早く輸出制限が行われてもおかしくはない。
ロケットで宇宙資源を持ち帰って、レアメタルの枯渇問題に対処するという案もある。しかし地球から小惑星まで往復するのに必要なエネルギーと資源投入量が、持ち帰る資源の価値を上回る可能性が高い。年間数万トン消費されるレアメタル需要には対応できない。
またプラスチックについて2022年のWorld Economic Forumの記事では、次のように述べられている。
「プラスチックは地中から原油を取り出して加工することで作られている。これは年間の世界全体の石油消費量の4〜8%を占める。2050年までにプラスチック需要の増加により、この割合は最大で20%に達する可能性がある。
また化学産業とプラスチック産業は、世界の温室効果ガス排出量のおよそ7%を占めている。2030年までには、その量は新設される石炭火力発電所約300基分に相当するレベルに達する可能性がある。
プラスチックは通常、使用後に廃棄されるか単に捨てられる。1950年から2015年の間にプラスチック廃棄物の80%が埋立地や環境中に流れ込んでいる。世界的に見ても、年間に生産されるプラスチックのうちリサイクルされるのは約15%に過ぎない。これはプラスチックに限った話ではない。世界で流通するおよそ1,000億トンの資材のうち、リサイクルされるのはわずか86億トン。世界の資源循環率はわずか8.6%に過ぎないということ。」
出典:
World Economic Forum. It's time to shift to net-zero emissions plastics. 2022年1月.
https://www.weforum.org/stories/2022/01/it-s-time-to-shift-to-net-zero-emissions-plastics/?utm_source=chatgpt.com
そのプラスチックの累計生産量も年々増加している。
世界のプラスチック累計生産量
https://ourworldindata.org/grapher/cumulative-global-plastics
プラスチックの分野別使用では包装が世界的に最も支配的で、次いで建設となっている。包装は、建設や繊維など他の製品に比べて製品寿命が短いため、年間の廃棄物発生量においても支配的。
2019年 世界の年間プラスチック使用量
・Packaging(包装)
・Building and construction(建設)
・Other(その他)
・Transportation(輸送)
・Consumer and institutional products(消費財・施設用品)
・Textile sector(繊維分野)
・Electronics(電子機器)
・Industrial machinery(産業機械)
https://ourworldindata.org/faq-on-plastics?utm_source=chatgpt.com
大きなプラスチックごみが紫外線や波、風、摩擦によって細かく砕けて5mm未満のマイクロプラスチックとなり、これが海の表面に浮遊する。魚はそれを餌と誤認して飲み込み、その魚を捕食する大型魚へとマイクロプラスチックが移り、最終的にそれらの魚を人間が食べることで、マイクロプラスチックが食物連鎖を通じて人体に取り込まれる循環が起きている。
海の表面付近に浮遊・滞留しているマクロプラスチック(1950年から2050年)
https://ourworldindata.org/grapher/macroplastics-in-ocean
また世界経済の発展に伴い、世界の森林面積は徐々に減少を続けている。
世界の森林面積(1958年〜2014年)
https://ourworldindata.org/grapher/global-forestry-area-1958-2014
1970年以降、野生生物の個体数が全体的に大幅に減少している。これはリビングプラネット指数(LPI)で表され、監視されている野生動物の個体群の平均的な減少を測定する指標。この指数は、1970年の時点を100%とした場合に、5,495種類の生き物(固有種)に属する34,836の個体群が、それ以降どれくらい数を増減させたかを示している。
リビングプラネット指数(世界)
https://ourworldindata.org/grapher/global-living-planet-index
2021年には海でも商業的に重要な魚種のうち、約35%の魚種が生物学的に持続可能な水準以下で漁獲されており、過剰漁獲状態で個体数が減少し続けているか、既に枯渇に近い状態の魚類資源を指す。過剰漁獲は1974年から2021年にかけて増加傾向にある。
世界の商業的魚資源の状況
・生物学的に持続可能(Biologically sustainable)
・過剰漁獲(Overexploited)
https://ourworldindata.org/grapher/fish-stocks-within-sustainable-levels?tab=chart&country=~OWID_WRL
一例として各種マグロは1960年代から1990年代にかけて商業的な需要が高まり、過剰漁獲によって資源量が大幅に減少した。特にミナミマグロは深刻な資源枯渇の危機に瀕し、絶滅危惧種に指定されている。
2000年代以降は漁業管理の改善や過剰漁獲の抑制により、これらの種の資源量は回復傾向にある。この回復は持続可能な漁業管理の重要性と、その効果を示す良い例と言える。
各種マグロの魚資源の推移
・キハダマグロ(Yellowfin tuna, Central Western Pacific Ocean)
・メバチマグロ(Bigeye tuna, Central Western Pacific Ocean)
・ミナミマグロ(Southern bluefin tuna, Southern Oceans)
・キハダマグロ(Yellowfin tuna, Atlantic Ocean)
・ビンナガマグロ(Albacore tuna, Northern Atlantic)
1948年設立のIUCN(国際自然保護連合)の調査では、2025年には47,000種以上の生物が絶滅の危機に瀕している。これは評価されたすべての種の28%にあたる。
絶滅の危機にある種の割合
出典:IUCN
1990年から2025年までの極度の貧困人口の割合
極度の貧困とは、1日あたり3ドル未満(国際貧困ライン)で生活している状態を指す。
このデータは、インフレおよび各国の生活費の差を考慮して調整されている。
https://ourworldindata.org/grapher/share-of-population-in-extreme-poverty?tab=line&country=~OWID_WRL
極度の貧困は1日あたり3ドル未満で生活する状態と定義される。都市化により収入が増える人は貧困から脱しやすく、そのため改善が見られる。しかし、この経済成長の背景には資源の大量消費や環境劣化がある。生活の質は向上してきたものの気候変動や資源枯渇の影響により、将来的には再び貧困リスクが高まる可能性がある。つまり貧困人口の減少は一時的な傾向であり、資源枯渇や自然環境の悪化度合いに左右される。
貨幣社会は多くの発展をもたらした反面、損なわれたものもある。ただここまで見てきたようなS字カーブが示しているのは、人間が住む環境そのものを破壊し、人間が住めなくなる世界へ向かっているということ。さらに生活を支える電子機器も、資源の枯渇によりやがて使用できなくなる。つまり一時的な便利さや経済成長に夢中になるあまり、生活の持続可能性が危ぶまれている。
貨幣社会による影響
古代文明と同様に、産業革命以降の資本主義も急速に発展してきた。どの指標で見るかによるが、人口は2100年までは増加し、それ以降は減少する。スマホやインターネットの普及や発展については資源枯渇が迫りつつあり、輸出制限も考えると2030年代後半から鈍化する可能性がある。自然環境はすでに悪化の一途を辿っている。つまり全体大きな視点で見れば、産業革命以降の世界的な産業文明はベル型で崩壊していく形となる。
ここまでの例を見る限り、あらゆる人間活動の土台となる自然環境は世界的に悪化しているので、産業文明が安定したまま維持していく可能性はほとんど見えない。AIや新技術による解決を期待する見方もあるが、これらはエネルギー消費やレアメタルへの依存度が高く、性能や経済性の面で完全な代替は難しいため、過度な楽観論に過ぎない。
S字カーブの急激な上昇の後には反動や限界がくる法則から見ると、産業革命後の急速な文明の発展の反動として、資源枯渇や気候変動、国家間の緊張の高まり、資源の奪い合いなど複数の原因が絡み合い衰退の圧力が高まる。
産業文明の流れ
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