第3章11 産業革命後:文明の繁栄と衰退のパターン

 

◯自然界の法則、S字カーブ、ベル型、のこぎり型


 自然界の法則としてみられるS字カーブは、文明の発展や人口の増え方にも見られる。S字カーブとは何かの成長や普及が進むときに、ゆっくり上昇 → 急激上昇 → 安定維持と進む様子をグラフで表したもの。



S字カーブ、アメリカの家庭における電気の普及率(1908年〜2005年)


  ベル型はS字カーブで急激に成長したものが、頂点から急激に減少していくタイプ。

ベル型の例、年齢別HIV/AIDS死亡率、世界


 のこぎり型はベル型の急上昇と急下降を繰り返すタイプ。

のこぎり型の例、世界の新規コロナ感染者と死者数(2020年〜2025年)


 こういったS字カーブから続く現象は自然の中でも見られ、この宇宙の法則となっている。またS字カーブを描き、急激な成長期の後には必ず何らかの反動や限界が現れる。

S字成長の例とその特徴

分野

現象

S字成長の特徴

備考

天文学

星の誕生

ガスが集まって星ができ、やがて安定した光を出すようになる。

成長がゆっくり→急に進み→安定する、典型的な例。

天文学

銀河と星の作られ方

ガスが銀河規模で集まり、密度が高まると星が大量に生まれる時期がある。ガスが消費されるなどで星の誕生はゆるやかになる。

S字+小山型のパターン。

地質学

土のたまり方(地表の土)

岩石が風化・分解して微粒子が生まれ、少しずつ地表に堆積。微生物の活動、動物の掘削などで堆積が一気に進み厚くなり、一定の限界で止まる。

とても長い時間で変化する。

生物進化学

動物の数の増え方

新しい場所に住み始めてどんどん増えるが、食べ物やスペースの限界で落ち着く。

自然の基本的なしくみ。

生態学

森の育ち方

若い森は成長が早く、木が増えて密集すると落ち着いてくる。

教科書にもよく載る例。

植物生態学

雑草の成長(季節)

春に育ち始めて夏に急成長し、秋ごろには成長がゆるやかになる。

一年草などに多く見られる。

微生物学

細菌が増える様子

栄養があると一気に増えるが、食べ物がなくなると止まる。

理科の実験でもよく出てくるパターン。

疫学

感染症の広がり

最初はゆっくり→急に広がる→予防や免疫で落ち着く。

合計の感染者数はS字カーブになる。

免疫学

抗体の増え方

感染後に一気に増えて、その後は一定の量で安定する。

体の反応の典型例。

昆虫学

バッタの大発生

条件が良いと一気に増えるが、食べ物不足で数が減る。

何年かおきに起きることがある。

社会生態学

昔の都市の人口

技術と食料で人が増えるが、土地や資源が足りなくなると増えにくくなる。

人類の歴史でよく見られる。

テクノロジー

ネットの利用者数

最初は少なく、急に広がって、やがて誰でも使うようになり増えなくなる。

IT技術でよく見る普及の流れ。

教育心理学

学ぶスピード(学習曲線)

はじめは難しくてゆっくり進むが、コツをつかむと早くなり、慣れてくると進みが落ち着く。

学習の基本的なパターン。

発達心理学

子どもの言葉の数

幼いころは少しずつ増え、年齢とともに急に増えて、大きくなるとペースが落ちる。

子どもの成長の典型的な例。

エネルギー

油田の生産量

掘り始めは急に増えるが、限界がくると減っていく。

全体ではS字+ベル型の混合のようなカーブになる。


 古代から人間の文明は、興っては滅びることを繰り返してきた。都市国家が誕生し、S字カーブで人口が増加するが、やがてさまざまな要因が重なって人口が減少し、文明は崩壊する。

文明崩壊の典型的な流れ

フェーズ

内容の説明

形成期

人口や生産は少なく、技術も限定的。ゆっくりと社会や農業が育ち始める時期。

繁栄期

安定した農業生産や交易、技術発展で人口増加・経済拡大。

頂点期

都市化進展、社会構造の複雑化、政治権力の強化。

過負荷期

環境・資源・社会・政治の限界が見え始める。

崩壊期

資源枯渇、社会混乱、外敵侵攻、疫病、人口減少。

再編期

新たな社会・文明への移行や分散化。


 次に実際の文明の大まかな流れをいくつか見てみる。

メソポタミア文明の流れ

段階

内容(メソポタミア文明)

年代(西暦)

主な問題

形成期

小規模集落が川沿いに点在。ウバイド文化が誕生。初期の農業が始まり、生活基盤が徐々に整う。

紀元前6500年頃〜紀元前3500年頃

限られた農地・水資源、自然災害、集落間の小規模争い

繁栄期

都市国家ウル・ウルクが成立。灌漑農業が広がり、楔形文字が発明。人口は数千〜5万

に増加。

紀元前3500年頃〜紀元前2300年頃

-

頂点期

アッカド帝国からハンムラビ王朝まで統一国家が栄え、法典や文学が発達。人口は数十万に拡大。

紀元前2300年頃〜紀元前1200年頃

-

過負荷期

アッシリア・新バビロニア帝国時代。軍事国家化により一時復活するが、地域間争いと内部矛盾が蓄積。

紀元前1200年頃〜紀元前539年頃

都市国家間の絶え間ない戦争、軍事費の増大、農業生産力の限界

崩壊期

アケメネス朝ペルシアによる征服により政治的独立を失う。伝統的支配層の没落、人口減少。

紀元前539年頃〜紀元前330年頃

外敵侵入(ペルシア)、政治腐敗、内乱、灌漑システムの維持困難

再編期

ペルシア・ヘレニズム・パルティア支配下で地域文化は存続するが、政治中心は他地域に移行。

紀元前330年頃〜紀元後200年頃

-


マヤ文明の流れ

段階

内容(マヤ文明)

年代(西暦)

主な問題

形成期

小規模集落が点在し、狩猟・採集から農耕への移行が始まる。初期のトウモロコシ栽培や簡単な灌漑技術が導入される。人口は数百〜数千規模。

紀元前2000年頃〜紀元前1000年頃

農地・水資源の制限、自然災害、集落間の小規模衝突

繁栄期

農業技術が発展し、初期都市国家形成。トウモロコシ栽培が確立。人口は数万に増加。

紀元前1000年頃〜紀元後250年頃

-

頂点期

古典期最盛期。ティカル、パレンケなど大都市建設、マヤ文字・天文学・建築技術が発達。人口最大約200万人。

紀元後250年頃〜紀元後800年頃

-

過負荷期

都市国家間の競争激化、人口増加が農業生産力の限界に接近。環境負荷増大、森林破壊進行。

紀元後800年頃〜紀元後900年頃

都市間戦争の激化、人口過剰、森林伐採による土壌劣化、水資源不足

崩壊期

古典期マヤの急速な衰退。多くの都市が放棄され、碑文建立が停止(最後は909年)。人口激減。

紀元後900年頃〜紀元後1000年頃

長期干ばつ、農業崩壊、政治体制の機能不全、エリート層の権威失墜、疫病の可能性

再編期

北部ユカタン半島でポスト古典期マヤが継続。チチェン・イッツァ、マヤパンなど新都市が栄えるが規模は縮小。

紀元後1000年頃〜紀元後1500年頃

スペイン征服(1546年)まで継続


ローマ帝国の流れ

段階

内容(ローマ文明)

年代(西暦)

主な問題

形成期

小規模ラテン集落やエトルリア文明の影響下で、農業・都市基盤が形成される。共和政以前の初期ローマ市建設、政治制度の原型ができる。人口は数千〜数万規模。

紀元前753年頃〜紀元前100年頃

小規模戦争、土地争い、食糧生産の制約、エトルリア勢力との対立

繁栄期

共和政後期からアウグストゥス即位。地中海世界の統一、軍事技術・法制度の発展。人口約4000万〜6000万人(ローマ市100万人含む)。

紀元前100年頃〜紀元後100年頃

-

頂点期

五賢帝時代の最盛期。トラヤヌス帝時代に最大版図達成。ローマ法・建築・都市計画が発達。帝国人口最大約6000万人。

紀元後100年頃〜紀元後235年頃

-

過負荷期

軍事費増大、辺境防衛の負担拡大。蛮族侵入の圧力、経済格差、軍人皇帝の頻出による政治不安定。

紀元後235年頃〜紀元後350年頃

辺境防衛費の増加、インフレ、疫病(アントニヌスの疫病)、政権の短命化

崩壊期

西ローマ帝国の急速な衰退。ゲルマン民族の大移動、帝国分裂、軍事力の低下。476年に西ローマ皇帝が廃位。

紀元後350年頃〜紀元後500年頃

蛮族侵入、経済・軍事・政治体制の崩壊、価値観の変化(キリスト教化)

再編期

東ローマ帝国(ビザンツ帝国)として継続。コンスタンティノープル中心の統治。規模は縮小しながらも約千年継続。

紀元後500年頃〜紀元後1453年

オスマン帝国による征服まで継続、文化・宗教・行政の再編


イースター島文明の流れ

段階

内容(イースター島文明)

年代(西暦)

主な問題

形成期

初期ポリネシア人の入植。小規模集落形成、狩猟・採集と簡易農耕の開始。生活基盤の確立と初期社会構造の形成。人口数百〜数千規模。

紀元後600〜800年頃

限られた資源、食料確保の困難、小規模集落間の衝突

繁栄期

ポリネシア人入植後の社会拡大。農業技術確立、サツマイモ・タロイモ栽培開始。人口数千人規模に成長。

紀元後800年頃〜紀元後1100年頃

-

頂点期

モアイ像建造の最盛期。巨大石像製作技術の発達、アフ(祭壇)建設、複雑な社会階層形成。人口最大約1万5千人。

紀元後1100年頃〜紀元後1500年頃

-モアイ建造のための過剰な資源消費(木材、食料)や部族間競争が潜在的問題。

過負荷期

モアイ建造競争の激化、森林伐採の加速。部族間対立の深刻化、資源枯渇の兆候。

紀元後1500年頃〜紀元後1650年頃

森林破壊、土壌侵食、部族間競争激化、食料資源の減少

崩壊期

生態系の完全崩壊と社会秩序の破綻。最後の木伐採、モアイ建造停止。人口は約3000人に激減。内戦状態。

紀元後1650年頃〜紀元後1750年頃

完全な森林消失、土壌流出、食料危機、部族戦争、人口崩壊(約3000人まで減少)

再編期

外部接触期。ヨーロッパ人来航後の社会変化、奴隷狩り、疫病流入。伝統文化の断絶と近代化。

紀元後1750年頃〜

ヨーロッパ人による奴隷狩り(1862年)、疫病、文化破壊、チリ併合(1888年)


 S字カーブは数十年、数百年、数千年、数万年と様々な時間軸で見られる。数千年のS字カーブの中に数百年のS字カーブがいくつも見られたりする。では2020年代の貨幣社会を見た時に、この文明はS字カーブのどの段階なのかを見てみる。

世界の人口(紀元前4000年〜2023年)


 世界人口のグラフを見ると、まさにS字カーブの急成長の部分にいる。人口は2100年には89億人から124億人に達し、ここがピークでそこから減少すると予測されている。減少の背景には1960年代中頃から続く世界的なTFRの低下がある。ただそれでも人口が増加しているのは、都市でも農村でも医療設備が整ってきたことと、まだTFRが2.1人を上回る国が多いため。

 人間の平均寿命80歳の時間軸で世界人口の増加を見ると、貨幣文明はもう少し成長し、頂点期は先のように見える。ただ実際は世界的なTFRの低下、気候変動、環境破壊、資源枯渇、経済格差、世界的な統治機能不全による戦争の勃発などの問題があり、文明崩壊の典型的な流れで見ると過負荷期(かふかき)に入っており、崩壊期にも差し掛かっている段階と見える。


 人口増加に比例して、世界的なエネルギー消費量も増加している。その大部分を占めるが天然ガス(Natural gas)、石油(Oil)、石炭(Coal)の化石資源、そして原子力(Nuclear)はウランという鉱物資源となっている。

エネルギー源別の世界の一次エネルギー消費量

https://ourworldindata.org/grapher/global-energy-substitution

 天然ガス、石油、石炭、ウランはやがて枯渇するが、枯渇直前には消費の抑制・価格上昇・戦略備蓄など使用制限が行われる。つまり一般的に使用できる年数は枯渇年よりさらに短くなる。

主なエネルギー資源の推定枯渇年

資源名

推定枯渇年

備考

石油(Oil)

2070年頃

2020年基準で約50年の埋蔵量

天然ガス(Gas)

2072年頃

2020年基準で約52年の埋蔵量

石炭(Coal)

2153年頃

2020年基準で約133年の埋蔵量

原子力(ウラン)

2100年頃

高速増殖炉技術で大幅延長可能


2020年時点の化石燃料の埋蔵量の残り年数

https://ourworldindata.org/grapher/years-of-fossil-fuel-reserves-left

 石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料は燃焼時に大量の二酸化炭素を排出する。これが地球温暖化の主要な原因の一つとされている。そのため、温暖化対策としても化石燃料の使用は段階的に制限される方向にあり、実際の資源枯渇前に政策的・技術的な制限がかかることが予想される。原子力発電は放射性廃棄物の処理問題、建設費の高さ、建設時間の長さ、政治・社会的な抵抗もあり、使用拡大が難しくなっている。

 世界の二酸化炭素排出量に占めるエネルギー産業の割合は約70~75%程度となっており、二酸化炭素の排出量もS字カーブで上昇している。

世界の年間の二酸化炭素排出量

https://ourworldindata.org/grapher/annual-co2-emissions-per-country?country=USA~GBR~IND~CHN~FRA~DEU~BRA~OWID_WRL


 二酸化炭素が増えると、次のような流れとなる。二酸化炭素排出 → 大気中濃度上昇 → 熱の宇宙への放出減少 → 地球表面の熱蓄積 → 気温上昇。

産業革命前の時代と比べた世界の年間気温偏差

https://ourworldindata.org/grapher/temperature-anomaly

 IPCC第6次評価報告書では、化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない、最大排出量のシナリオ(SSP5-8.5)においては、2100年までに3.3~5.7℃の昇温を予測している。
出典:
2100年までの世界平均気温の変化予測(1~2100年・観測と予測), JCCCA: Japan Center for Climate Change Actions
https://www.jccca.org/download/43044



産業革命以前の期間を基準とした、世界の年間海面水温の異常値

https://ourworldindata.org/grapher/sea-surface-temperature-anomaly

 気候変動による気温と海水温の上昇により、北極海の海氷面積も減少傾向にある。2月頃(February)に海水が凍りついて海氷面積が最大になり、9月頃(September)に気温が上昇し、氷が溶けて海氷面積が最小になる。


北極海の海氷面積(1979年〜2025年)

https://ourworldindata.org/explorers/climate-change?Metric=Arctic+sea+ice+extent&Long-run+series=false

 そして北極、南極、グリーンランドなどの陸上の氷が溶けて海に流れ込み、海面が上昇している。


海面上昇

 世界の平均海面水位の上昇は、1993年~2008年の平均海面水位を基準として測定されている。


https://ourworldindata.org/grapher/sea-level



AMOC(エーモック)


出典:NASA(Public Domain


 北極やグリーンランドの氷が溶けていることによって、AMOC(エーモック / Atlantic Meridional Overturning Circulation)と呼ばれる大西洋の海水の南北循環にも異変が見られている。通常、冷たくて塩分濃度の高い海水は重く沈み、深い海流となって南へ流れる。この沈み込みがAMOCの原動力で、海の表面では温かい海流が北へ向かう循環ができている。しかし北極などの氷が溶け、塩分が少ない大量の淡水が北大西洋に流れ込む。これにより海の塩分濃度が下がる。こうして海水が軽くなり沈みにくくなると、海流の循環が弱まってしまう。
 このAMOCが弱まると、ヨーロッパが寒くなったり、アフリカや南米で雨が減ったり、洪水が増えたり、海の生き物や漁業に悪影響が出る。そして世界の気候の極端化や予測困難な天候が増える恐れがある。科学的予測では、AMOCは2100年までにさらに弱まる可能性が高い。つまり二酸化炭素の排出→気温上昇→北極などの氷が解ける→AMOCが弱まる→予測不可能な天候が増える、という悪循環が起こっている。
 2021年に発表されたUCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)の研究者を含む研究では、AMOCは過去1000年で最も弱くなっていると指摘され、一度AMOCが大幅に弱まると元の状態に戻るのが困難になる可能性がある。

出典:
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL). (2021年2月25日).

「Earth’s Gulf Stream System at its weakest in over a millennium」UCL News.
https://www.ucl.ac.uk/news/2021/feb/earths-gulf-stream-system-its-weakest-over-millennium




 GDP(Gross Domestic Product=国内総生産)はその国の経済活動の大きさを表す代表的な指標で、どれだけモノやサービスが取引されているかを数値化したもの。単純な生産量ではなく、市場価値(価格 × 数量)で評価する。例えば同じ量を作っても、高付加価値品ならGDPに大きく貢献する。

この概念が正式に生み出されたのは1930年代。世界のGDPもS字カーブで上昇している。

世界のGDPの長期推移(1700年から2023年まで)

https://ourworldindata.org/grapher/global-gdp-over-the-long-run?time=1700..latest

 経済活動が上昇している一方、資産格差が広がっている。富裕層の資産が極めて高く上昇する一方で、貧困層の資産が非常に低いことが示されており、世界的な資産格差が非常に大きいことがわかる。この格差が広がると富裕層と貧困層の間で、社会的な対立や不満が強まる。また富裕層が政治や政策に強い影響力を持ち、貧困層の声が届きにくくなる。また資産のある層だけが良質な教育や医療サービスを受けられたり、貧困層の増加により、犯罪や精神的・身体的健康問題などが社会問題化しやすくなる。

1995年から2014年までの所得階層別の一人当たり総資産

High income : OECD(高所得者:OECD加盟国、日本、米国、ドイツなど先進国が多い)
High income : non-OECD(高所得者:OECD非加盟国、中国、インド、ブラジルなど新興国や発展途上国が多い)
World(世界全体)
Upper middle income(上位中所得者)
Low income(低所得者)
https://ourworldindata.org/grapher/total-wealth-per-capita-by-income-groups-in-2014-us-dollars

核兵器の拡散
 核兵器の保有を検討している(considering)、追求している(pursuing)、または保有している国(possesssing)の数。保有している国は2025年で米国、ロシア、中国、フランス、英国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9カ国。合計で約12,500発の核弾頭を所有しており、このうち約9,500発が運用可能な状態にある。
https://ourworldindata.org/grapher/nuclear-weapons-proliferation


通信技術の普及状況(世界)

https://ourworldindata.org/grapher/ict-adoption


 通信技術は世界的に普及しているが、それら電子機器に使われる資源の利用量も増加している。


世界の鉱物鉱山の生産量(1901年〜2023年)

 スマホ、PC、医療機器などあらゆる電子機器に、レアメタルと呼ばれる希少金属が使用されている。それらは鉱山で採掘される。ただその量が少なく、枯渇が近づいているものがある。つまりやがて電子機器の製造が制限されていくということになる。

Cobalt(コバルト)、Copper(銅)、Graphite(黒鉛)、Lithium(リチウム)、Nickel(ニッケル)、Rare earths(希土類)、Silver(銀)、Tin(スズ)、Tantalum(タンタル)、Zinc(亜鉛)、Niobium(ニオブ)、Antimony(アンチモン)
https://ourworldindata.org/grapher/global-mine-production-minerals?country=Cobalt~Copper~Graphite~Lithium~Nickel~Rare+earths~Silver~Tin~Tantalum~Zinc~Niobium~Antimony


 次の表は理論上の枯渇年順に並べたもの。現実的に枯渇する前に鉱山国による輸出制限が行われるので、供給量が減少する可能性がある。また、人口が増えればスマホ・PC・AIサーバーなどの普及が急速に進み生産量が増え、理論上の枯渇年も早まる可能性がある。反対に新規鉱山の発見や技術進歩で枯渇年が遅くなることもある。

 参考にしたU.S. Geological Surveyの資源の国別の埋蔵量のデータには「利用可能なデータがない(NA)」という国もあるので、その場合は下記の表の埋蔵量の部分に「◯◯万トン以上」という表記で下限目安となる。同じく理論上の枯渇年も、分かっている埋蔵量で計算した下限目安の年という意味合いになる。




レアメタル・ベースメタルの理論的な枯渇年目安(2025年度)

資源名

埋蔵量

2024年生産量

R/P比(年)

理論上の枯渇年

使用機材・用途例

AI機器での使用例

スズ (Tin)

420万トン以上

30万トン

14年以上

2039年以降

半田、スマホ・PC基板、航空機部品

AI基板半田、電子接続部

金(Gold)

6.4万トン

3,300トン

19.39年

2044年

電子機器、回路、医療器具、航空部品

AIサーバー配線、電子接続部

アンチモン (Antimony)

200万トン以上

10万トン

20年以上

2045年以降

難燃剤、バッテリー、電子機器

AIサーバー・電子機器難燃材

鉛 (Lead)

9,600万トン

430万トン

22.33年

2047年

電池、配管、放射線遮蔽、電子部品

AIサーバーバッテリー、放射線保護材

インジウム(Indium)

※資料:SCRREEN, 2020年

1.88万トン


827トン
(2013-2016年平均)

22.73年


2048年



フラットパネルディスプレイ、バッテリー添加物、半導体(LED、レーザーダイオード)、赤外線技術

AIサーバーのディスプレイ、基板はんだ、半導体、熱伝導材(サーバー冷却)


セレン (Selenium)

9.2万トン

3,700トン

24.86年

2050年

ガラス製造、顔料、電子機器、太陽電池

AI半導体、センサー、太陽光発電

クロム (Chromium)

12億トン以上

4,700万トン

25.53年以上

2051年以降

ステンレス鋼、合金、耐食性コーティング、航空機部品

サーバー筐体耐食材、AI機器合金

銀 (Silver)

64万トン

2.5万トン

25.6年

2051年

スマホ・PC回路、電子部品、医療器具

AIサーバーCPU・GPU配線

フルオスパー (Fluorspar)

3億2千万トン

950万トン

33.68年

2059年

フッ化物、アルミ製造、製鋼、セメント

AIサーバー冷却剤、電子絶縁材

ニッケル (Nickel)

1.3億トン以上

370万トン

35.14年以上

2060年以降


EVバッテリー、航空機部品、ステンレス鋼、スマホ・PC電池

AI電源・バッテリー材料

テルル (Tellurium)

3.5万トン

980トン

35.71年

2061年

太陽電池、合金、半導体、医療機器

AI太陽電池、半導体安定化

コバルト (Cobalt)

1,100万トン

29万トン

37.93年

2063年

EVバッテリー、スマホ・PC電池、航空機部品

データセンターUPS、AIサーバー・ノートPCバッテリー

ダイヤモンド (Diamond, Industrial)

17億カラット

4,100万カラット

41.46年

2066年

研磨材、切削工具、ドリルビット、電子機器

AIチップ切削工具、冷却システム

銅 (Copper)

約9億8,000万トン

2300万トン

42.61年

2068年

スマホ・PC基板、電線、配線、医療器具

サーバー配線、GPU・CPU電源ライン

タングステン(Tungsten)

460万トン以上

8.1万トン

57年以上

2082年以降


スマホの振動モーター、PC・スマホ基板実装工具、半導体製造装置、精密ドリル

導体製造装置部品、高温センサー、電子機器接点、放熱部品

モリブデン (Molybdenum)

1,500万トン

26万トン

57.69年

2083年

鋼合金、耐熱材、触媒、航空機部品

AIサーバー耐熱合金、電子部品

チタン鉱物濃縮物

(Titanium mineral concentrates

5億6千万トン以上

940万トン

59.5年以上


2084年以降


航空宇宙部品、医療機器、塗料、船舶構造材、スポーツ用品

AIサーバー筐体(軽量・耐食性合金)、GPU/CPU冷却システムの構造材

ボーキサイト・アルミナ (Bauxite and Alumina)

290億トン

4億5千万トン

64.44年

2089年

アルミ製造、航空機部品、電子機器

AIサーバー筐体軽量材、放熱部品

鉄鉱石 (Iron Ore)

2,000億トン

25億トン

80年

2105年

鋼鉄製造、建設材、自動車、機械

サーバー筐体、AIインフラ鉄鋼材

マンガン (Manganese)

17億トン

2,000万トン

85年

2110年

鋼製造、電池、合金、農業肥料

AIサーバー電池材、構造合金

ニオブ (Niobium)

1,700万トン以上

11万トン

155年以上

2180年以降


超合金、航空機部品、医療器具

サーバー筐体・GPU耐熱合金

リチウム (Lithium)

3,000万トン

24万トン

125年

2150年

EV・スマホ・PCバッテリー、医療器具

AIノートPC・サーバーバッテリー、UPS

ヨウ素 (Iodine)

620万トン

3.3万トン

187.88年

2213年

医薬品、写真、触媒、液晶ディスプレイ

AIディスプレイ素材、医療AI機器

黒鉛 (Graphite)

2.9億トン

160万トン

181.25年

2206年

EV・スマホ・PCバッテリー電極、鉛筆、潤滑材

AIサーバー・GPU用電池電極

レアアース(Rare Earths

)※17元素で構成

9000万トン以上


39万トン

230.77年以上


2255年以降


スマホ・PC磁石、蛍光体、自動車モーター

GPU・CPU冷却ファン磁石、ハードディスク磁石

リン鉱石(Phosphate Rock)

740億トン


2億4千万トン

308.33年


2333年

肥料、食品添加物、洗剤、電池

AIサーバー電池材、農業AI用肥料

補足:

・R/P比(年)は埋蔵量 ÷ 年間生産量で計算。


出典:

U.S. Geological Survey (USGS), 2025, Mineral Commodity Summaries 2025 (version 1.2, March 2025): U.S. Geological Survey, 212 p., https://doi.org/10.3133/mcs2025.
MINERAL COMMODITY SUMMARIES 2025, https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2025/mcs2025.pdf

SCRREEN, Indium CRM Factsheet 2020, European Commission, 2023
https://scrreen.eu/wp-content/uploads/2023/01/INDIUM_CRM_2020_Factsheets_critical_Final.pdf?utm_source=chatgpt.com

 



 理論上の枯渇年が2039年のスズから2068年の銅までの複数の資源が枯渇や供給制限のリスクに直面すると、金属の供給不足 → 価格上昇・性能低下 → スマホ全体の性能・価格バランスに影響を与える。特に代替困難なコバルト、インジウム、銀は、電池やディスプレイ性能に直接的な制約を与える。つまり資源の制約により、必然的にハイテク技術の性能は落ちてくる。

 さらに、2010年に中国は枯渇がまだ先のレアアースの戦略的輸出制限を行った。枯渇年から見れば100年以上前倒しとなる。レアメタルは中国・コンゴ・南アフリカ・チリ・アルゼンチン・ブラジル・ロシア・オーストラリアなどに集中しているので、国の事情により輸出制限がされる可能性がある。よって枯渇年よりも10〜20年早く輸出制限が行われてもおかしくはない。


 ロケットで宇宙資源を持ち帰って、レアメタルの枯渇問題に対処するという案もある。しかし地球から小惑星まで往復するのに必要なエネルギーと資源投入量が、持ち帰る資源の価値を上回る可能性が高い。年間数万トン消費されるレアメタル需要には対応できない。


 またプラスチックについて2022年のWorld Economic Forumの記事では、次のように述べられている。

「プラスチックは地中から原油を取り出して加工することで作られている。これは年間の世界全体の石油消費量の4〜8%を占める。2050年までにプラスチック需要の増加により、この割合は最大で20%に達する可能性がある。 
 また化学産業とプラスチック産業は、世界の温室効果ガス排出量のおよそ7%を占めている。2030年までには、その量は新設される石炭火力発電所約300基分に相当するレベルに達する可能性がある。
 プラスチックは通常、使用後に廃棄されるか単に捨てられる。1950年から2015年の間にプラスチック廃棄物の80%が埋立地や環境中に流れ込んでいる。世界的に見ても、年間に生産されるプラスチックのうちリサイクルされるのは約15%に過ぎない。これはプラスチックに限った話ではない。世界で流通するおよそ1,000億トンの資材のうち、リサイクルされるのはわずか86億トン。世界の資源循環率はわずか8.6%に過ぎないということ。」

出典:
World Economic Forum. It's time to shift to net-zero emissions plastics. 2022年1月.
https://www.weforum.org/stories/2022/01/it-s-time-to-shift-to-net-zero-emissions-plastics/?utm_source=chatgpt.com


 そのプラスチックの累計生産量も年々増加している。

世界のプラスチック累計生産量

https://ourworldindata.org/grapher/cumulative-global-plastics


 プラスチックの分野別使用では包装が世界的に最も支配的で、次いで建設となっている。包装は、建設や繊維など他の製品に比べて製品寿命が短いため、年間の廃棄物発生量においても支配的。


2019年 世界の年間プラスチック使用量

Packaging(包装)
Building and construction(建設)
Other(その他)

Transportation(輸送)
Consumer and institutional products(消費財・施設用品)
Textile sector(繊維分野)
Electronics(電子機器)
Industrial machinery(産業機械)


https://ourworldindata.org/faq-on-plastics?utm_source=chatgpt.com


 大きなプラスチックごみが紫外線や波、風、摩擦によって細かく砕けて5mm未満のマイクロプラスチックとなり、これが海の表面に浮遊する。魚はそれを餌と誤認して飲み込み、その魚を捕食する大型魚へとマイクロプラスチックが移り、最終的にそれらの魚を人間が食べることで、マイクロプラスチックが食物連鎖を通じて人体に取り込まれる循環が起きている。



​​海の表面付近に浮遊・滞留しているマクロプラスチック(1950年から2050年)


https://ourworldindata.org/grapher/macroplastics-in-ocean


 

 また世界経済の発展に伴い、世界の森林面積は徐々に減少を続けている。

世界の森林面積(1958年〜2014年)

https://ourworldindata.org/grapher/global-forestry-area-1958-2014


 1970年以降、野生生物の個体数が全体的に大幅に減少している。これはリビングプラネット指数(LPI)で表され、監視されている野生動物の個体群の平均的な減少を測定する指標。この指数は、1970年の時点を100%とした場合に、5,495種類の生き物(固有種)に属する34,836の個体群が、それ以降どれくらい数を増減させたかを示している。

リビングプラネット指数(世界)
https://ourworldindata.org/grapher/global-living-planet-index


 2021年には海でも商業的に重要な魚種のうち、約35%の魚種が生物学的に持続可能な水準以下で漁獲されており、過剰漁獲状態で個体数が減少し続けているか、既に枯渇に近い状態の魚類資源を指す。過剰漁獲は1974年から2021年にかけて増加傾向にある。

世界の商業的魚資源の状況
・生物学的に持続可能(Biologically sustainable)
・過剰漁獲(Overexploited)

https://ourworldindata.org/grapher/fish-stocks-within-sustainable-levels?tab=chart&country=~OWID_WRL


 一例として各種マグロは1960年代から1990年代にかけて商業的な需要が高まり、過剰漁獲によって資源量が大幅に減少した。特にミナミマグロは深刻な資源枯渇の危機に瀕し、絶滅危惧種に指定されている。

 2000年代以降は漁業管理の改善や過剰漁獲の抑制により、これらの種の資源量は回復傾向にある。この回復は持続可能な漁業管理の重要性と、その効果を示す良い例と言える。


各種マグロの魚資源の推移
・キハダマグロ(Yellowfin tuna, Central Western Pacific Ocean)
・メバチマグロ(Bigeye tuna, Central Western Pacific Ocean)
・ミナミマグロ(Southern bluefin tuna, Southern Oceans)
・キハダマグロ(Yellowfin tuna, Atlantic Ocean)
・ビンナガマグロ(Albacore tuna, Northern Atlantic)



https://ourworldindata.org/explorers/fish-stocks?facet=none&country=Atlantic+bluefin+tuna+Western+Atlantic~Albacore+tuna+Northern+Atlantic~Albacore+tuna+South+Pacific+Ocean~Yellowfin+tuna+Atlantic+Ocean~Bigeye+tuna+Central+Western+Pacific+Ocean~Yellowfin+tuna+Central+Western+Pacific+Ocean~Southern+bluefin+tuna+Southern+Oceans&hideControls=true&Metric=Fish+stocks+%28biomass%29&Total+or+Relative=Total


 1948年設立のIUCN(国際自然保護連合)の調査では、2025年には47,000種以上の生物が絶滅の危機に瀕している。これは評価されたすべての種の28%にあたる。


絶滅の危機にある種の割合

分類

絶滅の危機にある種の割合

理由

両生類

41%

ほぼ半数の両生類(カエルやサンショウウオなど)が絶滅の危険にある。生息地破壊や感染症が主な原因。

哺乳類

27%

約4分の1の哺乳類が絶滅危惧種。森林伐採や狩猟などが影響。

マツ類

34%

針葉樹の約3分の1が絶滅危惧。森林伐採・気候変動が要因。

鳥類

12%

1割以上の鳥類が危険に晒されている。生息地破壊や気候変動が影響。

サメ・エイ類

37%

過剰漁獲や生息地破壊で、約3分の1が絶滅危惧種。

サンゴ礁

44%

サンゴの半数近くが危機に。海水温上昇や白化現象が原因。

一部の甲殻類

28%

エビ類、カニ類など商業漁獲が原因で約3分の1が危機に。

爬虫類

21%

約5分の1の爬虫類が絶滅危惧種。生息地破壊やペット取引が影響。

ソテツ類

71%

約7割が絶滅危惧。森林破壊や密猟が主原因。

出典:IUCN



1990年から2025年までの極度の貧困人口の割合

 極度の貧困とは、1日あたり3ドル未満(国際貧困ライン)で生活している状態を指す。
このデータは、インフレおよび各国の生活費の差を考慮して調整されている。

https://ourworldindata.org/grapher/share-of-population-in-extreme-poverty?tab=line&country=~OWID_WRL

 極度の貧困は1日あたり3ドル未満で生活する状態と定義される。都市化により収入が増える人は貧困から脱しやすく、そのため改善が見られる。しかし、この経済成長の背景には資源の大量消費や環境劣化がある。生活の質は向上してきたものの気候変動や資源枯渇の影響により、将来的には再び貧困リスクが高まる可能性がある。つまり貧困人口の減少は一時的な傾向であり、資源枯渇や自然環境の悪化度合いに左右される。


 貨幣社会は多くの発展をもたらした反面、損なわれたものもある。ただここまで見てきたようなS字カーブが示しているのは、人間が住む環境そのものを破壊し、人間が住めなくなる世界へ向かっているということ。さらに生活を支える電子機器も、資源の枯渇によりやがて使用できなくなる。つまり一時的な便利さや経済成長に夢中になるあまり、生活の持続可能性が危ぶまれている。


貨幣社会による影響

分野

改善されたもの

損なわれたもの

教育・知識

・識字率の向上
・初等〜高等教育の普及
・情報アクセスの拡大(インターネット、スマホ)

・知の商業化(教育の格差)
・伝統知・地域の知識の軽視

健康・医療

・ワクチン、薬の普及
・乳幼児死亡率の大幅減少
・平均寿命の延び

・医療の営利化
・精神的健康の悪化(うつ、不安、過労死)

生活・福祉

・絶対的貧困の減少
・水、電気、交通のインフラ整備
・家庭用機器の普及

・過剰消費
・中毒性(スマホ・娯楽)
・家族、地域コミュニティの希薄化

労働・経済

・雇用の多様化と専門職の誕生
・最低賃金や労働権の整備
・起業や創造活動の可能性の拡大

・労働の過剰競争
・ストレス
・非人間的な仕事の増加
・労働時間の長時間化

ジェンダー・人権

・女性の教育
・職業機会の拡大
・差別や偏見への認識向上
・LGBTQ+ や障がい者の権利の一部向上

・本質的な平等が実現しづらい市場原理
・貧困層、弱者が制度から排除されがち

環境・自然

・一部で環境保護意識が向上
・再生可能エネルギーへの投資の促進

・生物多様性の減少
・資源の過剰採掘
・気候変動と環境破壊の加速
・自然との精神的なつながりの喪失

文化・精神性

・多様な文化へのアクセス
・娯楽や表現の自由

・伝統文化の衰退
・精神的空虚感の増加(意味の喪失)
・貨幣価値が人間関係や価値観を支配


 古代文明と同様に、産業革命以降の資本主義も急速に発展してきた。どの指標で見るかによるが、人口は2100年までは増加し、それ以降は減少する。スマホやインターネットの普及や発展については資源枯渇が迫りつつあり、輸出制限も考えると2030年代後半から鈍化する可能性がある。自然環境はすでに悪化の一途を辿っている。つまり全体大きな視点で見れば、産業革命以降の世界的な産業文明はベル型で崩壊していく形となる。

 ここまでの例を見る限り、あらゆる人間活動の土台となる自然環境は世界的に悪化しているので、産業文明が安定したまま維持していく可能性はほとんど見えない。AIや新技術による解決を期待する見方もあるが、これらはエネルギー消費やレアメタルへの依存度が高く、性能や経済性の面で完全な代替は難しいため、過度な楽観論に過ぎない。


 S字カーブの急激な上昇の後には反動や限界がくる法則から見ると、産業革命後の急速な文明の発展の反動として、資源枯渇や気候変動、国家間の緊張の高まり、資源の奪い合いなど複数の原因が絡み合い衰退の圧力が高まる。

産業文明の流れ

段階

西暦

内容

形成期

約1500年〜1700年頃

近代前夜の都市化・交易の拡大。商業資本の成長と国家財政の整備。貨幣経済の基盤が形成され、植民地交易や金融システムの先駆けが始まる。

繁栄期

約1700年〜1900年頃

産業革命の始まり。機械化・資本主義の台頭による農業・工業・交通の発展。貨幣・銀行制度が急拡大。人口増加と植民地主義的な経済成長。

頂点期

約1900年〜1970年頃

都市化の進行、エネルギー革命(石油依存)、グローバル貿易・消費社会の誕生。世界大戦と冷戦による軍需産業の拡大と技術革新。中央集権的な国家と経済システムの強化。

過負荷期

約1970年〜2020年頃

環境問題(地球温暖化、資源枯渇)、経済格差の拡大、TFR低下、精神的・社会的な孤立、核拡散、グローバル資本の暴走、気候変動の進行。文明の複雑性が限界を迎え始める。

崩壊期

約2020年〜約2060年?

パンデミック、戦争(例:ウクライナ、ガザ)、国家の統治機能低下、AIと監視社会、エネルギー・食料危機の兆候、気候災害の激化、社会の分断、孤独の蔓延。技術的限界と資源制約が現実化。

再編期

今後〜

人類の選択しだい。


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