◯独裁政治と民主主義の幸福度
ここでは次の4つの政治体制で見ていく。独裁政治体制は権威主義の中の一つ。
政治体制
政治体制 | 説明 |
完全民主主義 | 公正な選挙と自由が保障され、三権分立と政治参加が十分に機能する体制 |
欠陥民主主義 | 民主制度はあるが、不正や制限があり、自由や権力分立が不十分な体制 |
混合政治体制 | 民主と独裁が混在し、選挙や議会はあるが権力が偏る体制 |
独裁政治体制 | 権力が一部に集中し、自由や権利が大きく制限される体制 |
次の表は2024年の世界の国の幸福度1位〜20位までと、その政府腐敗度、政治体制、1989〜2024年までの戦死者数をまとめたもの。幸福度が高い国ほど完全民主主義で、政府の腐敗度が低く、戦争がないので戦死者も0人が多い傾向にある。
2024年の幸福度・政府の腐敗度・政治体制、1989〜2024年の戦死者数
国名 | 幸福度順位 | 政府の腐敗度順位 | 政治体制 | 戦死者数 | 備考 |
フィンランド | 1 | 2 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
デンマーク | 2 | 1 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
アイスランド | 3 | 10 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
スウェーデン | 4 | 8 | 完全民主主義 | 5人 | 戦争なし |
イスラエル | 5 | 30 | 欠陥民主主義 | 2,350人 | 紛争・治安不安 (パレスチナ問題) |
オランダ | 6 | 9 | 完全民主主義 | 2人 | 戦争なし |
ノルウェー | 7 | 5 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
ルクセンブルク | 8 | 5 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
スイス | 9 | 5 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
オーストラリア | 10 | 10 | 完全民主主義 | 2人 | 戦争なし |
ニュージーランド | 11 | 4 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
コスタリカ | 12 | 42 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
クウェート | 13 | 65 | 欠陥民主主義 | 1,816人 | 湾岸戦争 |
オーストリア | 14 | 25 | 完全民主主義 | 4人 | 戦争なし |
カナダ | 15 | 15 | 完全民主主義 | 51人 | 戦争なし |
ベルギー | 16 | 22 | 欠陥民主主義 | 40人 | 戦争なし |
アイルランド | 17 | 10 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
チェコ | 18 | 46 | 完全民主主義 | 0人 | 戦争なし |
リトアニア | 19 | 32 | 欠陥民主主義 | 15人 | 戦争なし |
イギリス | 20 | 20 | 完全民主主義 | 218人 | 海外での軍事作戦など |
次の表も同じ内容だが、1989〜2024年までの戦死者数の多い国で並べたもの。注意点として、戦死者数は1989〜2024の累積であり、戦争が継続中の国もあれば、イラク、ボスニアのように戦争が終結している国もある。
1989〜2024年の戦死者数、2024年の幸福度・政府の腐敗度・政治体制
国名 / 地域 | 戦死者数 | 幸福度順位 | 政府の腐敗度順位 | 政治体制 | 備考 |
ルワンダ | 79万3,999人 | 143 | 43 | 混合政治体制 | ルワンダ内戦 |
シリア | 41万2,798人 | 177 | 177 | 独裁政治体制 | シリア内戦 |
エチオピア | 38万3,963人 | 130 | 99 | 混合政治体制 | ティグレ紛争 |
アフガニスタン | 31万7,591人 | 143 | 165 | 独裁政治体制 | タリバン戦争 |
ウクライナ | 24万5,048人 | 105 | 105 | 混合政治体制 | ロシア侵攻 |
メキシコ | 14万0,158人 | 25 | 140 | 混合政治体制 | 犯罪・治安関連 |
エリトリア | 13万9,428人 | 133 | 173 | 独裁政治体制 | エリトリア戦争 |
コンゴ民主共和国 | 13万6,075人 | 139 | 163 | 独裁政治体制 | コンゴ内戦 |
イラク | 12万7,054人 | 92 | 140 | 独裁政治体制 | イラク戦争 |
ナイジェリア | 7万1,881人 | 102 | 140 | 混合政治体制 | テロ・治安関連 |
イエメン | 6万7,510人 | 133 | 173 | 独裁政治体制 | 内戦(サウジ介入) |
スリランカ | 6万5,387人 | 128 | 121 | 欠陥民主主義 | タミル紛争 |
ボスニア・ヘルツェゴビナ | 6万5,234人 | 65 | 114 | 混合政治体制 | ボスニア戦争 |
スーダン | 6万4,024人 | 131 | 170 | 独裁政治体制 | ダルフール紛争 |
ソマリア | 6万3,908人 | 179 | 179 | 独裁政治体制 | ソマリア内戦 |
南スーダン | 6万2,456人 | - | 180 | 独裁政治体制 | 南北スーダン紛争 |
インド | 5万7,963人 | 126 | 96 | 欠陥民主主義 | カシミール紛争 |
ブルンジ | 5万679人 | - | 165 | 独裁政治体制 | 内戦・反政府 |
コロンビア | 4万3,826人 | 78 | 92 | 欠陥民主主義 | 麻薬抗争 |
アンゴラ | 3万3,104人 | - | 121 | 独裁政治体制 | アンゴラ内戦 |
ロシア | 3万2,627人 | 72 | 154 | 独裁政治体制 | ウクライナ侵攻 |
トルコ | 3万1,685人 | 98 | 107 | 混合政治体制 | クルド問題 |
ミャンマー | 3万617人 | 118 | 168 | 独裁政治体制 | 内戦・治安 |
リベリア | 2万3,122人 | 121 | 135 | 混合政治体制 | 内戦 |
アルジェリア | 2万1,001人 | 85 | 107 | 独裁政治体制 | 内戦(武装勢力) |
フィリピン | 2万663人 | 53 | 114 | 欠陥民主主義 | テロ・治安 |
シエラレオネ | 2万327人 | 140 | 114 | 混合政治体制 | 内戦・治安 |
ブラジル | 1万9,147人 | 44 | 107 | 欠陥民主主義 | 犯罪・治安 |
マリ | 1万7,171人 | 122 | 135 | 混合政治体制 | 内戦・テロ |
ブルキナファソ | 1万7,168人 | 110 | 82 | 混合政治体制 | 内戦・テロ |
こういった比較から傾向として独裁者の下では戦争が起こりやすく、戦死者も多くなり、政府の腐敗も進み、国民の自由な活動も制限されるので、幸福度も100位以下が多い。ただし、幸福度は政治体制以外の要因(経済水準、文化、歴史など)にも影響されるため、個々の国で例外が生じることはある。例えばイスラエルやクウェートのように、欠陥民主主義でも幸福度が高い。
出典:
Our World in Data. Deaths in armed conflicts based on where they occurred, 1989–2024.
https://ourworldindata.org/grapher/cumulative-deaths-in-armed-conflicts?tab=table
Transparency International. Corruption Perceptions Index 2024.
https://www.transparency.org/en/cpi/2024
Helliwell, J., Layard, R., Sachs, J., De Neve, J., Aknin, L., Wang, S. World Happiness Report 2024.
Figure 2.1: Country Rankings by Life Evaluations in 2021–2023.
https://files.worldhappiness.report/WHR24.pdf
Economist Intelligence Unit (EIU). Democracy Index 2024.
https://www.eiu.com/n/campaigns/democracy-index-2024/
◯鎖国や孤立政策
鎖国や孤立政策は、基本的に権威主義的な体制が採りやすい政策の一つ。その背景には次のような理由がある。
権威主義と鎖国・孤立政策の関係 | 説明 |
権力集中の維持 | 外部文化・思想や宗教の流入を制限し、統治層の権威を揺るがす要素を排除する。 |
国民統制 | 外部情報や交易を制限することで、国民の選択肢や知識の範囲を限定し、反対勢力の形成を防ぐ。 |
経済・資源の独占 | 貿易や技術の流入を統制し、権力層が経済的利益を独占する。 |
外部干渉防止の名目 | 外国からの侵略や干渉を抑えることを表向きの理由として掲げるが、結果として閉鎖的社会になりやすい。 |
例えば日本の江戸幕府がキリスト教を禁止したのは、西洋思想が封建制度を揺るがすことを防止するため。しかし国が孤立政策や鎖国をすると他国との交流が減り、技術革新の機会を制限することになる。すると他国と比べ兵器の技術革新が遅れる。
技術格差のパターン
共通パターン | 内容 |
火器技術の遅れ | 大砲、銃砲、軍艦などの近代兵器導入の遅れ |
軍事組織の近代化不足 | 常備軍制度、軍事訓練システムの立ち遅れ |
工業基盤の不足 | 武器製造能力、鉄鋼業などの産業発展の遅れ |
情報収集の制限 | 外国の軍事技術・戦術に関する情報不足 |
火器技術は軍事力の差となり、他国から次のような外部圧力を受ける。
外部圧力のパターン
| 内容 |
段階的圧力 | 通商要求 → 軍事デモンストレーション → 武力行使 |
技術優位の活用 | 少数でも圧倒的な火力で大軍を制圧 |
政治的分裂の利用 | 内部対立を利用した分割統治 |
経済的従属 | 不平等条約による経済支配 |
こうして他国からの侵略を防げず、衰退や崩壊に向かう。
孤立政策と軍事技術格差による外部圧力の事例
国・地域 | 時代 | 孤立政策・交流制限の内容 | 技術格差と外部圧力の結果 |
李氏朝鮮 | 1392年〜1876年 | 事大主義による中国依存、西洋技術導入の遅れ | 日本の軍事近代化に対応できず。軍事技術格差により日本の影響下に |
チベット | 1600年〜1950年 | 外部勢力との接触制限、軍事近代化の遅れ | 中国人民解放軍の近代装備に対し、旧式武器では対抗不能。軍事占領される |
日本 (江戸時代) | 1639年〜1853年 | 外国貿易を限定(オランダ・中国のみ)、キリスト教禁止、武器輸入制限 | 軍艦・大砲技術で決定的格差。ペリー艦隊の軍事的優位により開国を余儀なくされる |
清朝 (中国) | 1644年〜1840年 | 海禁政策、外国貿易制限、西洋技術への消極的態度 | アヘン戦争で英国の軍艦・大砲に敗北。軍事技術格差が決定的敗因 |
ムガル帝国末期 | 1700年〜1857年 | 西洋軍事技術への関心不足、伝統的軍事システムへの固執 | 英国東インド会社の近代兵器・戦術に敗北。セポイの乱鎮圧で完全に植民地化 |
オスマン帝国末期 | 1700年〜1918年 | 軍事改革への抵抗、西洋技術導入の遅れ | ロシア・オーストリア等との戦争で連敗。軍事技術格差により「瀕死の病人」と化す |
ビルマ(ミャンマー) | 1752年〜1885年 | 外国人との接触制限、伝統的軍事制度への固執 | 英緬戦争で英軍の近代兵器に敗北。段階的に植民地化 |
エチオピア | 1800年〜1935年 | 一定の孤立主義、近代化への消極性 | アドワの戦い(1896年)では勝利したが、第二次エチオピア戦争(1935年)でイタリアの機械化部隊・毒ガスに敗北 |
アフガニスタン | 1800年〜1919年 | 部族社会による分散統治、近代化への抵抗 | 英国との戦争で地形的優位はあったものの、軍事技術格差により苦戦。最終的に独立維持も大きな犠牲 |
ネパール(ラナ朝) | 1846年〜1951年 | 外交・貿易制限、軍事近代化の停滞 | 英国の軍事圧力により実質的に保護国化。独立維持も大幅な主権制限 |
◯貨幣がもたらしたもの メソポタミアの都市国家に貨幣が導入されて以降、軍事や商業が発達し、技術も発展した。技術の発展は人間の生活を便利にし、効率化が進み、より強く、より多く、より広く、より速くへと向かわせた。
技術発展の世界史:メソポタミア文明から2000年代へ
時代・地域 | 技術・発明 | 概要・影響 | 拡がり・接続 |
紀元前3500年頃(メソポタミア) | 文字(楔形文字)・粘土板 | 記録と知識の蓄積が可能に | エジプト(ヒエログリフ)・インダスへ |
紀元前3500年頃 | 車輪の発明 | 輸送・農耕・軍事技術に革命 | メソポタミアなどからユーラシア全域に広がる |
紀元前3000年〜 | 青銅器 | 武器・道具の進化、農業効率化 | オリエント〜中国・ヨーロッパ |
紀元前2000年〜 | 戦車+馬 | 軍事革命、国家権力の強化 | 中央アジア〜インド〜中国へ |
紀元前1500年頃〜 | 鉄器 | 生産力・戦力の急増 | ヨーロッパ・アジア・アフリカへ |
紀元前500年頃〜(ギリシア) | 抽象数学・哲学・論理学 | 論理的思考、科学的探究の基礎 | ローマ・イスラム世界へ |
紀元後800年頃(イスラム) | 代数学・天文学・医学 | ギリシア文明の継承・洗練 | ヨーロッパ中世に影響 |
1440年(ヨーロッパ) | 印刷技術(グーテンベルク) | 知識の爆発的伝播、近代の幕開け | 全世界へ拡がる基盤 |
1600〜1700年代(西欧) | 近代科学・実験法 | ニュートン、ガリレオらによる科学革命 | 産業革命の礎に |
1760年頃〜(英国) | 産業革命(機械・蒸気) | 生産の自動化、都市化、資本主義 | 欧米から世界へ |
1800年代後半 | 電気・通信技術 | 電話、電灯、モーターなど | 20世紀技術社会へ |
1940年代(米・欧) | コンピュータ(黎明期の電子計算機ENIACなど) | デジタル計算機の誕生 | 軍事・科学から商用へ |
1960〜80年代 | インターネット・PC | 情報社会の基盤技術 | 世界中に広がるネットワーク |
1990〜2000年代 | スマート技術・データ化 | GPS・スマホ・Webなど情報爆発 | 行動データ・AIの燃料に |
2010年代〜 | 人工知能(AI)・機械学習 | 言語処理・画像認識・自動化の急成長 | 世界中の産業・生活に統合中 |
テーマ別の技術進化(知識・道具・ネットワーク)
時代 | 記録・知識 | 道具・力の増幅 | ネットワーク |
古代 | 粘土板・紙・口伝 | てこ・滑車・歯車 | 隣村レベル・交易路 |
中世 | 手写本・書物 | 鉄器・水車・風車 | 陸路・海路 |
近代 | 印刷・百科事典・新聞 | 蒸気機関・機械・電気 | 電話・ラジオ・無線通信 |
2020年代 | デジタルデータ・インターネット・AI | ロボット・自律システム・AI | インターネット・クラウド・衛星通信 |
産業革命(1760~1840年)の成果が本格的に社会浸透し、2020年代へ向けて段階的に技術が安く利用可能になっていく。そうして特権階級のものだった文化・技術が大衆化し始める。
文化・技術の大衆化の流れ
分野 | 1850年頃まで (特権階級のみ) | 2020年代 (一般大衆も可能) | 変化をもたらした要因 |
音楽 | 宮廷や貴族の専属楽団、コンサートは富裕層向け | AI作曲、誰でも音楽配信・視聴(YouTube, Spotify)、自宅録音 | 録音技術(蓄音機→カセットテープ→CD→mp3→インターネット)、楽器の大量生産 |
美術 | 貴族や教会が注文した絵画・彫刻 | スマホで撮影・共有、デジタルアート制作 | カメラの普及、画像編集ソフト、SNS、NFTアート |
教育 | 家庭教師・書物は富裕層の子弟のみ。寺子屋(日本) | 義務教育、オンライン講座 | 公教育制度、印刷技術、ネット接続 |
旅行 | 外交・貿易・巡礼など一部の人のみ | 格安航空券、オンライン予約で世界旅行 | 鉄道・飛行機、観光産業、グローバル経済 |
読書 | 手写本や高価な初期印刷本は富裕層所有 | 図書館、電子書籍、ネット記事、識字率向上 | 活版印刷、大量出版、デジタル化 |
医療 | 宮廷医・高額治療は上流階級のみ。 | 保険制度で大多数が受診可能 | 医学教育の拡大、薬・機器の量産 |
スポーツ | 貴族の狩猟・騎士競技(馬術、狩猟、フェンシング、クリケット、ポロなど) | 大衆スポーツ、オリンピック参加。(ラグビー、サッカー、テニスなどは貴族・中流階級の学校から広まる。) | 公共競技場、メディア放送、スポンサー制度 |
演劇・映画 | 宮廷演劇や限られた劇場公演 | 映画館、配信サービスで誰でも鑑賞 | 映画産業、配信プラットフォーム |
こうした技術的な背景もあり、産業革命後、読み書きができる人口は世界的に増加した。
識字者と非識字者の世界人口
・識字者(Literate):読み書きができる人々の人口。緑色。
・非識字者(Illiterate):読み書きができない人々の人口。オレンジ色。

https://ourworldindata.org/grapher/literate-and-illiterate-world-population?tab=chart&country=~OWID_WRL
文化・技術の大衆化そのものは良いことだが、商業主義の行き過ぎによって悪い側面も当然でてくる。
文化・技術の大衆化のメリットとデメリット
分野 | メリット | デメリット |
音楽 | 多様な創作と聴取が可能になり、個人表現や文化交流が活発化 | 著作権侵害や過剰消費による質の低下、集中メディア支配の問題 |
美術 | 誰でも表現や鑑賞ができ、文化の民主化と多様性が拡大 | 商業化によるアートの格差拡大、一部の作品の過剰評価やバブル化 |
教育 | 教育機会が広がり識字率や知識水準が向上、社会移動も促進 | 教育格差の温存・拡大、情報過多による混乱や質のばらつき |
旅行 | 文化理解や交流の促進、経済活性化、個人の視野拡大 | 大量観光による環境破壊・地域文化の消失、格差拡大 |
読書 | 知識アクセスが容易になり学習・教養の普及が加速 | フェイクニュースや誤情報の拡散、読解力の低下懸念 |
医療 | 医療技術の普及で平均寿命延伸、疾病予防が進む | 医療費増大、過剰診断・過剰治療の問題、不平等な医療アクセス |
スポーツ | 健康増進と社会参加の機会拡大、国際交流促進 | 商業主義の浸透、ドーピングや不正の温床化、地域格差の拡大 |
演劇・映画 | 文化の多様化と表現の自由、娯楽の幅が拡大 | コンテンツの画一化・商業化、著作権問題や文化の消費主義化 |
様々な分野の大衆化は、健康状態を良くし、知的レベルを向上させ、表現の自由度を上げ、娯楽の幅を広げてきた。何事も光があれば闇があるように、文化・技術の大衆化にも光と闇があるのは必然とも言える。しかしこれらの発展は、自然破壊という闇の上に成り立っている。
社会に貨幣が導入されると「もっと儲けたい」という欲が動機となり、商業が発達する。すると科学技術も発展するが貧富の差も拡大する。社会的格差が広がり、権力も富裕層に集中し始める。やがて貨幣の獲得が生活の目的になり、やるかやられるかのマネーゲーム化し、個人も企業も国も止まれなくなる。ところがもっと儲けるため自然からの資源を過剰利用し製品を作り続ける。そうして自然環境は疲弊し始める。ところがそんなことはわかっていても、止まれないマネーゲームから離脱できないため、自分たちが生きる土台である自然環境を破壊し尽くし、自滅に向かう。資源枯渇、気候変動など地球の環境を破壊し続ければ、技術や文化を利用する場を失うことになる。2020年代には温暖化によって夏の昼間に外で子供がスポーツを控えるようになったり、農業も収量が落ちている。つまり技術の発展がもたらす利益を上回るほどの深刻な自然破壊が進んでいる。
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